浦和レッズが今季リーグ6戦目で初勝利を挙げた。ホームのベガルタ仙台戦で1-0の辛勝。FW興梠慎三(31)が挙げた1点を守りきった。暫定で指揮を執る大槻毅監督(45)が就任して迎えた最初のリーグ戦は戦い慣れた3バックを採用し、功を奏した。4日のルヴァン杯に続いて無失点に抑え、巻き返しのきっかけをつかんだ。

 浦和が本来の力を見せた。前半5分、「ベガルタ仙台キラー」の興梠が浦和に加入後、仙台戦11試合14得点目となる先制点を奪った。序盤から興梠、武藤が前線からボールを追いかけ回すと、中盤の選手も続いてたたみかけるようなプレス。今季リーグ戦無敗だった仙台の攻撃を敵陣内で次々と遮断した。後半に運動量が落ちたのは課題だが、興梠は「3バックは一番慣れている。守備はすごくよかった」と手応えを口にした。

 大槻監督は「選手がやりやすい形を考えた」と3バックを採用した意図を語った。日常から「戦術とか、頭でっかちになるな」と説き、選手が違和感なくプレーできるよう心を砕いてきた。武藤は「下がることは考えず、ゴールを狙って怖いところに入れと言われた。役割がはっきりしていた」と、迷いなくプレーできたことに前向きだった。

 就任6日目にして、こわもての指揮官の熱い姿勢は選手にも伝わっている。練習から「球際(で勝つこと)は最低限だ」と声を大にし、痛みをいとわない貢献を選手に求める。多くを語らずに見守ることが多かった堀前監督とは異なる雰囲気をピッチに作った。07年にACLを制した際に分析担当をしていた戦略家でもあり、山田分析担当コーチとともに映像に食い入って見ることも。選手から「勝ちたいという気持ちが顔に書いてあるような人」と形容される闘将が、チームに新たな風を吹き込んだ。

 試合後、大槻監督に笑顔はなかった。「思いのほか早く足が止まってしまった。前半からいけと言っているので消耗は早いが、前半の内容で後半も続けなければ」。目に見える貪欲さを持ち、降格圏からの逆襲をはかる。【岡崎悠利】