横浜F・マリノスと湘南ベルマーレが前半から激しい撃ち合いを展開の末、引き分けた。

 前半に湘南FWアレン・ステバノヴィッチ(27)が2発含む3得点に絡めば、横浜FWウーゴ・ヴィエイラ(29)もハットトリックを達成。前半8分の湘南の先制点がステバノヴィッチのゴールなら、Jリーグ史上初となる「前半だけで1試合両軍ハット」の記録も生まれていたが、ステバノヴィッチのシュートが横浜DF中沢佑二(40)の頭に当たって、オウンゴールと判定されたため“幻の記録”となった。

 試合は、ハイラインを保つ攻撃サッカーに挑戦する横浜と、持ち前の縦に速い攻撃サッカー“湘南スタイル”で横浜の背後を狙う湘南の、激しい攻め合いが前半から展開された。前半8分、セルビア1部パルチザン・ベオグラードから湘南に加入した元同国代表のステバノヴィッチが、左サイドを果敢に仕掛けて右足でシュート。ボールは中沢の頭に当たって、そのままゴールに吸い込まれ、オウンゴールで湘南が先制した。

 前半27分、横浜が同点に追いついた。中国スーパーリーグの遼寧宏運から新加入のカメルーン代表MFオリヴィエ・ブマル(28)からのパスを受けたFWウーゴ・ヴィエイラが、ペナルティーエリア右角付近でターンして右足を振り抜いた。シュートはDFアンドレ・バイアの股を抜き、ゴール左隅に突き刺さった。

 同28分、湘南が勝ち越した。MF菊地俊介(26)が、GK飯倉大樹が前に出ているのを見逃さず、右サイドで相手DFのクリアミスを、右足でダイレクトにシュート。30メートル超の距離があったが、ボールは左ポストに当たり、ゴールに吸い込まれた。さらに同41分、右からの浮き球パスに抜け出したステバノヴィッチが、GKとの1対1の状況で落ち着いてゴールに蹴りこみ、この日2点目を決めた。

 そこから、横浜が怒濤(どとう)の猛反撃を見せた。前半44分、左サイドを突破したDF山中亮輔からFWユン・イルロクを経由したパスを受けたヴィエイラが右足で決めてこの日2点目。さらに1分後、再び左サイドを突破した山中のパスを受けたヴィエイラが、DF3人に囲まれながらも右足でトラップし、そのまま落ち着いて右足で決めた。わずか1分間の2発で、ヴィエイラがハットトリックを達成して横浜が追いついた。

 ところが、前半の両軍のゴールラッシュは、まだまだ止まらない。ロスタイムに入った段階で、湘南がカウンターを仕掛けた。右から抜け出したFW松田天馬、イ・ジョンヒョプを経由したパスを受けたステバノヴィッチが右足でこの日2点目を決めた。

 ノーガードの撃ち合いは後半も続いた。後半8分、右CKをDF松原健が頭で折り返すと、ファーサイドに入り込んだDFミロシュ・デゲネク(23)が頭で押し込み、横浜が3度目の同点に追いついた。その後も互いに攻め合ったが、神奈川ダービーは両軍合わせて8ゴールが飛び交う激闘も、引き分けに終わった。