11年ぶり出場の藤枝東(静岡)が、初戦を突破した。神村学園(鹿児島)に2-1。前半10分、MF平尾拳士朗(3年)が右足で先制ゴール。後半15分には、FW井上燎哉(3年)が追加点を挙げた。その後は相手の反撃を1点に抑え、逃げ切った。持ち味のパスワークを発揮し、1971年(昭46)以来の全国優勝に向け、上々のスタートを切った。

 藤枝東が、全国舞台で「らしさ」を発揮した。序盤から持ち味のパスワークで攻め込み、前半10分にFW井上がシュート。GKがはじいたこぼれ球を平尾が右足で無人のゴールに流し込んだ。「押し込むだけでした。うれしいです」。

 意識改革から生まれた得点だ。壮絶な打ち合いになった県総体決勝清水桜が丘戦(5延長3)で決勝ゴール。これを契機に平尾が変わった。「(自分のプレーが)結果的に点につながれば良いと思っていましたが、自分でゴールを狙う意識が芽生えました」。言葉通り、信じてゴール前に詰めたことで結果を出した。

 後半15分には、井上が右足で追加点を挙げた。県総体全5試合に途中出場ながらも4得点。貴重なスーパーサブだったが、この日は先発の座を勝ち取って、ゴールも決めた。「もう、スタメンを譲りたくありません。でも、結果を残し続けないと、またベンチに戻ってしまいます」。

 チームは攻撃力を生かすために、守備の整備にも取り組んだ。6月の東海総体では初戦敗退。対した刈谷(愛知)に終盤、カウンターから同点弾を許し、PK戦の末に苦杯を喫した。7月のプリンスリーグ東海藤枝明誠戦でも、カウンターから失点を重ねて0-2。選手に焦りが出る中、小林公平監督(34)は「課題が浮き彫りになり、逆に良かった」と考え、相手の反撃に備える前線のポジショニングを再確認。この日は相手のカウンターを未然に防ぎ続け、指揮官は「最後までやりきってくれました」と評価した。

 2回戦は今日8日、明秀学園日立(茨城)と対する。1月の全国選手権で8強の強豪だが、チームの目標は47年ぶり3度目の頂点。平尾は言った。「自分たちで歴史をつくりたいです」。名門の誇りを胸に、必勝を期す。【古地真隆】