今大会限りで勇退する四日市中央工(三重)の樋口士郎監督(59)が初戦敗退で姿を消した。U-17代表のFW和田らタレントそろう攻撃陣が秋田商の堅い守備を崩せず、後半はシュート3本に封じられるなど、無得点に終わった。

樋口監督は選手で準優勝、コーチで優勝し、95年から監督に。8年前はハノーバー浅野らを擁し準優勝した。地元開催だった昨夏の全国総体を一区切りに、定年を1年残して伊室陽介コーチ(45)への禅譲を決めた。同監督は「最後だからという感傷的なものは何もなかった」と悔しさをにじませつつも、「本当に幸せでした。いろいろな選手に出会い、最高のスタッフに支えられた」と最後は晴れやかな笑みを浮かべた。

スタンドでは教え子の浅野も観戦。「姿勢や態度で教えてくれた。高校3年間で教わったことは、今でも財産です」と恩師のラスト采配を目に焼き付けた。