矢板中央(栃木)は、ガーナ人の父を持つ身長191センチFW望月謙(3年)の先制弾などで、2-1と日章学園(宮崎)に勝利。望月は「挫折も多かったですが、両親や家族など支えてくれた人に恩を返さないといけない。将来はプロサッカー選手としてJリーグだけではなく海外でも活躍したい。競り合いでは誰にも負けたくない」。驚異的な身体能力を生かした幸先良い発進に胸を張った。

前半20分、左クロスがファーサイドに流れると、瞬時に反応した。「こぼれ球は意識していました。思い切り蹴って、FWの仕事はできた」。トラップ後、右足を力強く振り抜き、ネットを揺らした。スタンドで見守る母千晶さんに向けてもガッツポーズ。後半16分には左サイドで相手守備に囲まれても積極的に仕掛け、PKを奪取。“2発”が勝利に直結した。

前回大会で3位となったが、全4戦すべてで前半交代の屈辱も味わった。昨年3月には左足首を負傷し、約2カ月の戦線離脱。復帰後も股関節痛に悩まされた時期もあった。「サッカーをやめようと思ったこともあったけれど、親は遠く離れていてもメッセージをLINEなどでくれた。『絶対にいける』と、いつも自分を信じてくれていました」。

2つ上の兄翔さん(20)は東京・修徳のFWとして活躍後、プロサッカー選手を目指して米マーティン・メソジスト大に進学。だが、もう1つの夢を抱き、現在はサッカーを辞めてオーストラリアでIT関連の企業に勤務している。「兄の分も自分が頑張りたいですね」。ガーナ、日本と選択肢はあるが「日本で生まれて日本で育ったので、もちろん日本代表しか考えていません」。卒業後は日体大進学が決まっているが、世界での活躍に向け、今大会を飛躍の場とするつもりだ。

チームとしても三度目の正直で九州の強豪を撃破した。全国総体では東福岡(福岡)に、高円宮杯U-18プレミアリーグ参入決定戦では大津(熊本)に敗れた悔しさも晴らした。3日の3回戦では立正大淞南(島根)と対戦する。