尚志(福島)がU-17(17歳以下)日本代表FW染野唯月(いつき、2年)の2戦連続ゴールで1-0と帝京長岡(新潟)を撃破した。11年度以来の4強進出。12日の準決勝(埼玉)では2大会ぶりの優勝を狙う青森山田と対戦する。東北勢同士の準決勝は、60年度の遠野(岩手)-秋田商以来58大会ぶり2度目。各都道府県代表となった83年度以降では初となった。

前半22分、FW二瓶由嵩(3年)のスルーパスに抜け出すと、ダイレクトで右足を振り抜き、ネットを揺らした。「自分が決めて勝てて良かった。ボールを納めるプレーも持ち味なので大迫勇也選手(ブレーメン)に特徴が似ていると思っている。少しでも近づきたい」。小学5年から鹿島の下部組織でプレーし、憧れ続けてきた“先輩”の存在。「点もとれて相手から恐れられ、嫌がられる選手が半端ない存在かなと思っています。自分にもそれが求められている」。「ポスト大迫」にも名乗りを上げた。

高校入学直後、仲村浩二監督(45)に守備的MFからFW転向を命じられた。昨夏のU-17日本代表初選出が大きな転機となった。7月の国際ユースサッカー(新潟)ではメキシコ戦でのゴールが自信に。それ以上に日の丸の重責が考え方を変えた。「チームのために体を張ることを求められ、みんなの代表としてプレーする意識も高まった。尚志でも100人以上の部員の思いを背負って、やらなきゃいけない責任がある。今は、重圧を楽しみに変えられている」。人間としても成長著しい。

今季はプリンスリーグ東北で13得点を挙げ、無敗での優勝に貢献した。昨年12月のプレミアリーグ参入プレーオフ1回戦ではルーズボールに頭から飛び込んだ際に相手選手の足と接触。約4センチの裂傷で緊急搬送され、医療用ホチキス6針の処置を受けた。それでも2日後の2回戦では医師を説得して強行途中出場。傷口が開くことも恐れず、試合終了間際の決勝ヘッドで土壇場で勝利をもたらした。Jユース杯を制した横浜ユースを2-1で破り、来季のプレミアリーグ昇格も決めた。

準決勝では昨年度の選手権直後に開催された東北新人大会決勝で0-1で敗れた青森山田と対戦する。「自分にとって埼玉スタジアムは夢の場所。全国制覇のためにもリベンジしたい。福島の人も良い結果を届けたい」。半端ない活躍で初優勝を導く。