J2ジェフユナイテッド千葉U-18の新監督に就任した元市船橋高サッカー部監督の朝岡隆蔵氏(42)と千葉の高橋悠太GM(37)が9日、千葉市内で会見を行い、意気込みを語った。

真新しい千葉のウエアに身を包んだ朝岡新監督は「トップチームで活躍する選手を多く輩出すること、チームをひとつ上のカテゴリーに上げること、チームの哲学の中に私のエッセンスもいれながら、より良いチームにしていきたい」と目標を語った。

就任を決断した経緯については、昨年にJFA公認S級コーチライセンスを取得したことや、公立高校での勤続が11年目を迎えたことなど「いろんな要素が重なった」といい「多くの方と話をしていく中で、ひとつチャレンジしてもいいタイミングなのかなと感じていた」と話した。その中で、約2年前から市船橋の練習に千葉の高橋悠太GM(37)が足を運ぶなど同クラブから熱心に誘いを受けていたこともあり「名前だけでなく評価していただいた。リスペクトのある、現実的なオファーということもあり、受けさせたいただきました」と説明した。

高橋GMは朝岡氏がクラブの求めていた「ネームバリューがあり、千葉で働きたいと思ってくれるような実績のある信頼される監督」、「どういう選手がJリーグで活躍してきたのかという、選手に必要な要素を知っていること」の2要素に合致した人材だったことをオファーの理由に挙げた。そして、クラブが下部組織の強化として選手寮の建設や、県外選手が通う学校との連携などをここ数年で進めてきたことも重なり「(U-18は)現状は県リーグにいるが、ひとつでもステップアップする上で、(就任できる)可能性があって、クラブとして本当に必要な人材をフラットに探したところで朝岡さんにいきついた」と話した。

朝岡氏はJFA公認S級ライセンスを保持しており、トップチームの監督なども務めることができる。将来的な監督就任の可能性について高橋GMは「可能性があるかと言われれば、あるとは思います」と話した。「将来、どうなるかはわからないですけど、最終的にはトップチームでチャレンジしたい思いがあると思いますし、夢を閉ざすことはやりたくない」と朝岡氏の意思を尊重する考えを示した。

朝岡氏は「U-18がよりよくなっていくことが仕事ですので、目の前のこと以外は考えないようにしています」とまずは現在の職務を全うすることを誓う一方、自身の恩師であり、かつて市船橋の監督を務めた現J3ザスパクサツ群馬監督の布啓一郎氏(58)への思いも語った。布氏は02年に市船橋の監督を退任後、U-16日本代表監督などを経て、Jクラブの指導者へと転身した。朝岡氏は「公立の公務員というのは素晴らしい仕事ですし、教員として全うすることも考えました」としつつ「サッカーの仕事と考えた時に、定年まで同じチームでやっていくことは転勤もあることから考えにくかった。市船以外でやっている自分が想像できなかったので。ひとつの例として布さんの生き様を見ていますし、憧れである布さんの生き様を知らず知らずのうちに追いかけたのかもしれない」と語った。

朝岡氏は市船橋OBで11年に監督に就任。同年の第90回全国高校選手権で9大会ぶり5度目の優勝を果たすと、13年と16年の全国高校総体も優勝。J1湘南ベルマーレのU-22日本代表DF杉岡大暉ら多くのプロ選手も育てた。同校監督退任後は今年4月11日から22日まで「第57回デュッセルドルフ国際ユースサッカー大会」に出場する日本高校サッカー選抜の監督として活動。6位で大会を終え、直後の4月25日に千葉が同U-18の監督就任を発表していた。また、市船橋の後任監督にはコーチだった波多秀吾氏が就任した。【松尾幸之介】