ジュビロ磐田の名波浩監督(46)が電撃辞任した。ホーム川崎フロンターレ戦後の会見で自ら口を開いた。「勝とうが負けようが、この試合で辞任することを決めていた」。前半戦を終えて3勝5分け9敗の勝ち点14で最下位に転落。J1参入プレーオフの末に残留を果たした昨季の不振も踏まえ、責任を取る形となった。後任は鈴木秀人ヘッドコーチが務めることが有力だ。

今季は攻撃改善を掲げてシーズンに入ったが、17試合を終えリーグワースト2位タイの12得点。7試合で無得点と、好転しない状況に比例して順位も節を追うごとに下げた。名波監督は「楽しそうにサッカーをさせてあげられなかった。そのけじめを自分自身がつけなければいけないと思った」。具体的には明かさなかったが、数日前には既に辞意を固めていたようだ。

14年9月25日にシャムスカ監督の後任としてJ2にいた古巣の監督に就任した。15年には最終節で大分にロスタイム弾で勝利。J2の2位で3季ぶりのJ1復帰を決め、選手の手で宙を舞った。「辞職する1つの要因として、大分戦以上の感動を生み出すことができなかった」と悔やんだ。「やり切ったとは思っていない」とも。すがすがしい表情とは裏腹に、言葉には後悔がにじんだ。

現役時代、司令塔として3度のリーグ優勝を磐田にもたらしたレジェンド。17年にはMF中村の獲得に自ら動くなどし6位と飛躍。4年9カ月率い、名門復活の兆しも見せたが、無冠のまま、志半ばで自ら別れを告げた。【前田和哉】