コンサドーレ札幌はFC東京に1-1と引き分け、首位を苦しめドローに持ち込んだ。

前半にセットプレーから先制を許すも、後半2分にMF鈴木武蔵(25)のシュートがFWジェイ(37)の左足に当たり同点に追いついた。今季はアウェーで0-2の完敗を喫したリーグ最少失点の堅守を誇る相手に、前節8発完封勝利の攻撃力でぶつかり、勝ち点1を手にした。順位は1つ下げ7位となった。

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試合後のジェイは上機嫌だった。引き分けだったが、リーグ1位をキープする東京と繰り広げた攻め合いを、楽しんだからだ。「相手は首位で守備も堅かったけど、チャンスを作れていたし、勝っていてもおかしくなかった。ヨーロッパのサッカーみたいな激しいフィジカルな試合だった」と振り返った。

1点ビハインドで折り返しても、前節8発のゴールラッシュで勢いに乗るチームには、負けない自信があった。後半2分にチャンスが訪れる。MF菅からのパスを鈴木が右足で合わせると、ゴール前のジェイの左足に当たり、軌道が変わってゴールに吸い込まれた。「いいアシストだった。ありがたい」と感謝した。今季7号は、更新を続けるクラブのJ1最年長ゴール、在籍通算最多得点だ。チーム最年長となってからは、2試合連続でゴールを決めている。今季3得点以上で勝った試合の翌節は1勝3敗で負け越していたが、悪い流れを断った。

同点弾を生んだ2人には約束がある。この日の試合後、鈴木はジェイに声をかけた。「あと4アシストね」。2週間ほど前だった。ジェイが鈴木に「5アシストしてくれたら、プレゼントをあげる」と約束していた。この言葉を忘れていなかったのだ。ジェイは「ルイ・ヴィトンのスーツケースが欲しいらしいけど、それは無理かもね」と冗談を言う。練習中「37歳だから元気でしょ」と、休ませない鈴木の自身への“イジリ”を笑って明かす仲の良さ。偶然にも見えるゴールは、息の合った2人だからこそ、飛び出したのだ。

今季も残り10節。次節は前日23日に鳥栖戦で6得点で勝利した神戸が相手だ。「今日みたいなパフォーマンスを出せば勝ち点3を取ると思う」。ジェイは頼もしく言った。【保坂果那】