明大(関東第1代表)が筑波大(同第6代表)を1-0で下し、準決勝へ駒を進めた。来季Jリーグ入りする選手6人を抱え、今季は総理大臣杯、関東大学リーグの2冠に輝く「無敵のメイジ」が、勝負強さを発揮した。

明大は前半からボールを支配し相手陣内でゲームを進めながら、守備を固めた筑波大の前に1点が奪えない。0-0で迎えた後半9分、カウンター攻撃を受けたDF川上優樹(4年)が、筑波大FW和田育(1年)をペナルティーエリア内で倒してPKを与えた。

1点を争う流れの中で苦しい状況に陥った。しかしGK加藤大智(4年)が筑波大のキッカー、MF高嶺朋樹(4年)が右へ蹴ったシュートに素早く反応しセーブした。先取点が勝負を左右しそうな展開で、ピンチを脱した。

均衡を破るべく筑波大は後半17分、来季の川崎フロンターレ入りが決まっているU-22日本代表MF三笘薫(4年)を投入。大学サッカー界のエースに対し、明大は対人能力の高いDF蓮川壮大(3年)をマーク役に付け、決定的な仕事をさせなかった。

そして迎えた後半39分、後半途中から「崩し役」と起用した2選手、MF小柏剛(4年)とMF中村健人(4年)が左サイドを細かくつなぎ、中村がゴール前ファーサイドへクロスボールを送る。右サイドから駆け上がったDF中村帆高(4年)がヘディングシュート。GKの頭上をふわりと抜く、技ありのゴールでついにゴールを奪った。

最後まで集中力を切らさず、筑波大のカウンター攻撃をしのいで逃げ切った。

栗田大輔監督は「お互いのプライドがぶつかり合った素晴らしい試合だった。1歩間違えれば負けてしまう。勝負のキワで勝利が転がり込んできた」と安堵(あんど)感を漂わせた。PKの場面については「失点を覚悟した。(GKの)加藤は反応の速いキーパーで、チームへの犠牲心が強い選手。よくチームを救ってくれた」とねぎらった。

決勝点を挙げた中村は、得点シーンを振り返り「めっちゃ時が止まったようで、めっちゃ(シュートを打つ)コースが見えていた。狙い通り、うまくいきました」としてやったりの表情だ。来季はFC東京に加入するユニバーシアード代表の右サイドバック。「左サイドは細かくつくれるのでクロスが来るなと信じて走った。一発狙っていました」と歯切れ良かった。

同じポジションにレベルの高い選手をそろえ、今季は大学サッカー界で頭一つ抜けた存在だ。相手チームのキーマンに応じて、フォーメーションをスタート時の4-4-2から3-2-3-2に変更させ、三笘という相手最大のストロングポイントを打ち消した。シュート数は13対4というように、まさにプロ予備軍という呼び名にふさわしい横綱相撲での勝利だ。三笘を後半投入という奇襲をかけた筑波大の小井土正亮監督も「やっぱりメイジは強い。相手は守備も攻撃も素晴らしかった」と脱帽していた。

他会場では関西学院大が立正大を1-0で下し、桐蔭横浜大が大会連覇を狙った法大を2-1で撃破した。また、中大は大阪体育大に6-1で大勝し、4強へと勝ち上がった。

準決勝は19日に明大-関西学院大(浦和駒場スタジアム)、桐蔭横浜大-中大(NACK5スタジアム大宮)で行われる。