静岡学園が6-0で岡山学芸館に快勝し、県勢、チームともに5大会ぶりとなる初戦を突破した。MF井堀二昭(3年)が人生初のハットトリックを達成。同校を1年で中退した、来季J1に昇格する横浜FCのFWカズ(三浦知良、52)が観戦。偉大な先輩が見守る前で、ゴールラッシュを披露し、サッカー王国静岡復活を印象づけた。

静岡学園が偉大な先輩に勝利を届けた。序盤は最終ラインに5人を並べる相手守備に苦戦したが、セットプレーで均衡を破った。前半29分、MF井堀が自ら獲得したFKをゴール左上に決めて先制。「蹴った瞬間に入ると思った。相手に傾きかけた流れを引き戻せた」と胸を張った。後半6、11分にもゴールを奪い、人生初のハットトリックを達成。「大舞台で達成できてうれしい」と白い歯を見せた。

スタンドにはブラジル留学のため、同校を1年で中退したカズがいた。高校選手権の観戦は86年度決勝の東海大一(静岡)-国見(長崎)のテレビ中継でゲスト解説を務めて以来33年ぶり、同校の試合は小4以来。“母校”の勝利に「すばらしい試合。いい大会の入りができた」と喜んだ。

選手にとってもキングの登場はサプライズだった。試合後にロッカールームを訪れたカズにねぎらいと激励の言葉をかけられた。井堀は「びっくりした。オーラがすごかった」と目を丸くした。試合前には高校時代の恩師・井田前監督(現コーチ)が「おもしろいサッカーをするから、楽しみにしててよ」と声をかけた。カズは「静学らしい個人技を生かしたプレーを見て、刺激になった」とJ1で戦う来季へ戦闘態勢を整えた。

静岡学園は95年度に鹿児島実と両校優勝。これ以降、県勢の優勝はない。2日の2回戦・丸岡戦へ井堀は「ショートパスで崩し、静学らしくゴールを目指したい」。サッカー王国復権へ好スタートを切った。【古地真隆】