ヴィッセル神戸が悲願の初タイトルをつかみ、令和初の天皇杯王者となった。

主要タイトル20冠の鹿島アントラーズに対し、これまで無冠だった神戸はボールを保持し、果敢なパスを回しを仕掛けて2-0で完勝した。ACLの出場権も初めて獲得した。

神戸は前半18分にオウンゴールで先制。同38分にはFW藤本憲明(30)が追加点を挙げた。いずれも藤本が絡んでの得点だった。新装となった国立競技場で記念すべき第1号はオウンゴールとなったが、選手としては藤本が最初の名前を刻んだ。

藤本は今季開幕戦でも大分所属で2得点を記録。夏に神戸に移籍し、11月30日のJ1鹿島戦でも得点するなど鹿島キラーで有名だった。JFLで4年、J3で2年、J2で1年を過ごし、8年目にたどり着いた今季J1で得点し、JFL~J1まで4カテゴリーの開幕戦で得点を記録した史上初の選手だった。

藤本は決勝に向けて「今季は鹿島で始まり、鹿島で終わる。そうなればいい」と話していたが、まさにシンデレラボーイが階段に駆け上がった。

神戸は元スペイン代表でW杯優勝経験のある、MFイニエスタが加入して1年半。盟友FWビジャの現役最後となった試合で、創設25年目のクラブが歴史を塗り替えた。

1995年の阪神・淡路大震災でスポンサーが撤退、神戸市主体のクラブ運営が2003年に破綻。悲運を乗り越え、20年東京五輪のメイン会場で天皇杯を掲げた。

親会社の楽天がバルセロナのスポンサーになり、17年以降はFWポドルスキら世界的スターが続々加入。18年度の営業収益(売上高)は、Jリーグ史上最高の96億6600万円を記録した。さらに19年はJリーグ全体(J1~J3、カップ戦も含む)の年間総入場者が1100万人を突破するなど、神戸がJリーグを先導する役目を担っていた。

◆楽天ヴィッセル神戸株式会社 前身は川崎製鉄水島(岡山)。クラブ元年の95年1月17日、練習始動日に阪神・淡路大震災に見舞われ、JFLは6位に。96年にJリーグ昇格を決める。97年以降はJ2の06、13年をのぞいてJ1に在籍。03年に民事再生法適用でクリムゾンフットボールクラブに営業譲渡、15年から楽天に株式譲渡。04年にはトルコ代表FWイルハン、01年には三浦知良(カズ)も在籍、12年途中には西野監督も指揮を執った。「VISSEL」は英語の勝利「VICTORY」と船「VESSEL」を合わせた造語。国際港湾都市神戸をイメージさせた。クラブマスコットは牛をモチーフにした「モーヴィ」。ホームタウンは神戸市、本拠地はノエビアスタジアム神戸、立花陽三社長。