4大会ぶり10度目出場の神戸弘陵(兵庫)が、帝京長岡(新潟)に後半だけで5失点の大敗を喫した。過去最高だった1993年(平5)度のベスト8へは、あと1勝及ばなかった。

谷純一監督(46)は「完敗です。前半は0-0でも、サッカーは前後半のスポーツ。ぜひ帝京長岡には優勝してほしい」とエールを送った。それでも3年生には「試合に出ていないメンバーもよくやってくれた」。最上級生に労をねぎらうことも忘れなかった。

Jリーグ、セレッソ大阪に入団する、U-18日本代表候補のDF田平起也(たびら・たつや)は、会場前で仲間と記念写真を撮り終わると涙があふれてきた。この試合では競り負けて失点するなど、反省はある。同時に仲間と最後まで全力プレーできたことに充実感もあった。

「これだけ注目された中、最初で最後の選手権で3試合ができた。僕は1、2年生の時はメンバー外だったり、スタメンでもなかった。それがこうやって試合に出られた。努力していれば絶対にチャンスがあるし、それを体現できた高校生活でした」

センターバックでコンビを組んだDF竹内悠力(ゆうり、3年)とは、苦労をともにしてきた。この試合も特に前半は好連係で無失点に抑えていた。竹内は「起也からは刺激をもらい続けた。いろんなことを教えてくれたし、努力する姿は僕も学ぶことが多かった。本当に感謝しています」と言った。

田平も「悠力は本当に体を張って守備をしていた。信頼できる仲間でした」と竹内に感謝する。1月中にC大阪の20年シーズンの練習に合流する予定の田平は「今まではサッカーにお金を払ってきたが、今度からはお金をもらう立場。シビアな世界で僕は成長していきたい」と誓った。

日本文理大(大分)に進学する竹内は「僕も起也と同じプロの世界を目指していく」。2人は違う道を進むが、これからも切磋琢磨(せっさたくま)して成長していく。