筑陽学園(福岡)が、昨夏全国高校総体8強の徳島市立に惜敗した。

03年度大会の準V超えを狙ったが、届かず。

後半、本来のサイドから崩す攻撃スタイルを封印してまで縦パス主体のパワープレーに転じた。だが最後まで相手の5バックの堅守を崩せなかった。

日章学園(宮崎)も四日市中央工(三重)にPK敗退し、17年度大会で東福岡が8強入りして以来、九州勢は2大会連続で3回戦で全滅した。

筑陽イレブンは、堅守を最後まで崩せず泣きじゃくった。試合終了の瞬間、主将のGK野中友椰(3年)は両手で顔を覆い、堅守カウンターを支えたCBのDF岡らは、ピッチに四つんばいになりうなだれた。

相手より多いシュート6本を放ちながら悔しい完封負けで、08年度の前回大会と同じ3回戦敗退。東福岡の福岡大会7連覇を阻止して出場した11大会ぶり3度目の選手権を振り返り、野中は「みんなきつくてもずっと走り続けてきた。勝ちたかったが上には上がいました」と唇をかみしめた。

青柳良久監督(45)は、2回戦で精彩を欠いた強みのサイド攻撃をはじめ、球際の攻防や間延びが見られた距離感などを改善して臨んでいた。だがこの日も「頑張ったがリズムが出なかった。前に出る良さを消され、出られなかった」という。

そんな中、前半22分、2試合連続で左CKから先制された。相手の速いボールからポストの跳ね返りを押し込まれ、野中は「反応が遅れ前に出られなかった。ダメでした」と悔やんだ。

それでも勝負を諦めなかった。後半20分過ぎ、サイドから堅守カウンターで崩す自慢のスタイルから、前線に縦パスを供給する作戦に転じた。同26分には、前線のターゲットにするため、身長184センチのDF益永望光(3年)まで投入。高さを生かすパワープレーで反撃を試みたが、相手の5バックをこじ開けられなかった。

たが2勝で得た収穫もある。2回戦で1得点のFW過能工太郎(3年)は「最後は蹴るだけのサッカーになり負けたが、走り切れて悔いなく終われた」。胸を張って太宰府に帰る。【菊川光一】