青森山田が静岡学園に2-3で逆転負けを喫し、00年、01年度の国見(長崎)以来となる連覇を逃した。

前半11分にセットプレーからDF藤原優大(2年)が頭で合わせ先制し、同33分にはMF武田英寿主将(3年)がPKで追加点。だが前半ロスタイムに1点を返されると、後半に2点を奪われ夢がついえた。守備の柱として活躍した藤原、1年生ながら5試合4得点のMF松木玖生らを中心に、総体、プレミアリーグ、選手権の全国3冠に向け再スタートを切る。

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つかみかけていた偉業が、悪夢のように消えていった。試合終了の笛が鳴り響くと、青森山田の選手たちはピッチにうずくまった。まさに天国から地獄だった。前半11分、MF古宿理久(3年)のFKを藤原が頭でそらし、先制ゴールを奪った。「ずっと練習してきた形。古宿さんのボールも練習通りだったし、決められてうれしかった」と最高の滑り出しだった。同33分には大黒柱の武田主将が自らPKをもらって追加点。しかし、前半ロスタイムの失点で相手が息を吹き返した。

後半は1対2の状態でも積極的にドリブルで仕掛けてくる静岡学園に対し、ラインが下がってしまった。藤原は「3失点は自分の責任。もっと前から行かせるべきだった」と無念の表情。1年生ながら、堂々たるプレーで大会を沸かせた松木は「選手権決勝の舞台は、そう簡単にはいかないと感じた」と大舞台の怖さを思い知った。

昨年は札幌MF檀崎、福岡DF三国を始め、タレント軍団だった。「史上最弱」と言われスタートも、選手たちは成長を続けプレミアリーグ優勝、そして選手権でも2連覇まであと1歩と迫った。藤原は「負けたけど準優勝は非常に価値があると思う。悔しいけれど決勝の舞台で楽しくプレーできた」とすがすがしかった。松木は今大会4ゴールに「得点は自信になった。これからは英寿さん(武田主将)みたいに、1枚2枚相手をはがしてシュートにもっていけるようにしたい。チームを勝たせられる選手になる」と成長を誓った。

藤原は昨年は途中出場で日本一を経験し、今年は準優勝。武田主将から「来年もやってくれ」と夢を託された。「この悔しさをスタンドから見ていた1、2年生を含め、ぼくや玖生を中心に今年以上のチームを作りたい。3冠は大きな目標です」。雪の青森から、雪辱に向けて再出発する。【野上伸悟】