プロ24年目を迎える横浜FCのMF中村俊輔(41)が「限界突破」の精神でJ1の舞台に挑む。チームは15日、和歌山県・上富田町で始動した。初日のこの日は、2400メートル走、36メートルダッシュ6本(インターバル10秒)など3種類のハードなフィジカルテストを行い、中村は完走。新シーズンの初日を終え「始まったなという感じ」とし、個人の目標としてこう語った。

中村 食らいつくというか、自分の限界を決めない。苦しい時も来ると思うんですけど、絶対に弱みを見せない。せっかく、J1でやらせてもらえるので「やっぱりあの人は違うな」と見せられるようにしたい。

昨夏に磐田から加入。自身初のJ2で、好調のチームに途中から入る難しさも味わい、ベンチ外も経験した。もがきながらも下平監督の戦術理解と仲間の特長を生かすことを考え続け、昨季終盤は5試合連続で先発。13年ぶりのチームのJ1昇格に貢献し、新たなボランチの引き出しも増えた。今季は監督が掲げる戦術の中で自分の色も出すことを考えている。

中盤には明大からMF瀬古、柏からMF手塚ら若手が加入し、定位置争いも激しくなる。「競争はつきもの。それを意識してやることが大事」とし「指名されて、頼りになる存在になれれば。あとは自分らしいプレーもしたい」と新しいチャレンジを掲げた。

クラブの今季の目標はトップ10。中村も十分に意識している。「J1でどう戦い抜くかをしっかり、イメージを統一させる作業が多くなる」とミーティングの重要性を説き「チームとして進化しないといけない。そこについていけるように。自分ができることがあれば、声をかけるし、そういう準備はしてきた」と頼もしい。このオフは、開幕から東京五輪の中断期間までコンディションが上昇し続けることを計算して体をつくった。経験を若手に還元するのはもちろん、輝きを増した姿をピッチで見せる覚悟だ。【岩田千代巳】