北海道コンサドーレ札幌は全選手の報酬一部返納申し出の発表から一夜明けた7日、札幌・宮の沢での練習後にMF宮沢裕樹主将(30)、MF荒野拓馬選手会長(26)、GK菅野孝憲(35)が取材に応じた。緊急事態宣言の発令から他クラブでは活動休止が相次ぐなか、練習できる喜びを感じながら前へ進もうとする選手の姿があった。

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5日に札幌野々村社長へ全選手の総意を代表して伝えた3人が、報道陣にその思いを語った。新型コロナウイルスの影響でクラブは約5億円の損失を見込む。報酬返納という決断に宮沢は「チームへの思いで出した結果」。GK菅野は「選手全員で話して、いい時も悪い時もチームで分かち合うということで、チームに使っていただこうということになった」と話した。

決断に至る経緯について宮沢は「1人1人家族もいる。選手だけの感情で動くことはできなかった。選手も家族と相談して出した結論」。若手とベテランの仲介役となった荒野は「若い選手の話も聞ける環境づくり、話し合いをまとめる役割をした」という。28選手の思いは一致し、4~9月の6カ月分の報酬の一部、総額1億円弱の返納を申し出ることになった。ただ宮沢は「自分たちの決断で、他のチームやいろんな人に影響を与えるかもしれないことも話し合った。ただの美しい話と考えていない」と、美談化や各方面への影響を懸念した。

この日、7都府県に緊急事態宣言が出され、他クラブの活動は休止状態だ。Jリーグ再開日も白紙で先が見えない。北海道では同宣言が先月19日に終了し、札幌は練習を続けられている。菅野は「毎日練習ができることだったり当たり前のことが、当たり前じゃないって感じられる」と、日々感謝の気持ちで励む。

北海道は復興へ次のステージへ進もうとしている。返納の申し出も、選手たちが北海道の一員としてとった行動の1つでもある。宮沢は「試合が行われた時に、いいパフォーマンスをすることがまずは第一」と力を込めた。【保坂果那】