プレナスなでしこリーグINAC神戸のGKスタンボー華(21)は最近、心を整えるすべを知った。新型コロナウイルスによる自粛期間中から始めたのは、毎朝10分間の瞑想(めいそう)。メンタルトレーナーに教わった。パワーストーンを身につけ、午前7時の起床後に静かな時間を過ごす。

「自分のことを知る時間になります。サッカーでは同じプレーをしても、考え方が変わるようになりました。例えばミスをした時に、これまでだったら『やっちゃった…』。それを『OK、次』と前向きに捉えることができています」

身長175センチ。ドイツ系米国人の父、日本人の母を持ち、東京・昭島市で生まれた。JFAアカデミー福島から、INAC神戸入り。18年には「ヤングなでしこ」の一員としてU-20(20歳以下)女子W杯を制したが、クラブでは守護神の座が遠かった。昨季までは試合出場の機会を得ても「緊張で体が動かないことがあった」と振り返る。

今季はリーグ開幕から2戦連続で先発。ともに1-0の完封勝利で、GKにとってはこれ以上ない結果だ。監督としてJリーグの浦和などを率いたゲルト・エンゲルス新監督(63)がこだわるのは、GKも絡めた組み立てだ。スタンボーは「試合前に緊張はするけれど、今季は『いい緊張』になっています。ミスしちゃいけないポジションだけれど、積極的なミスをプラスに捉えるようにしています」と変化を明かした。

29日の練習後、取材対応時に短くなった髪を指摘されると「気付いてくれた! 昨日切りました!」と満面の笑みを見せた。先輩、後輩関係なく慕われる明るいキャラクターは「調子はいいです!」と言い切る。それでも有頂天になることなく、自己分析は冷静だ。

「無失点は自分のおかげではなく、前にいる選手がみんな、やることをやったからこその結果です。(定位置を)取り切れたとは、全然思っていません」

8月2日は3連勝が懸かるホーム開幕の千葉戦(ノエスタ)。最後尾から、自分の色を出す。【松本航】