東京五輪の1年延期で「幻」になりかけた「幻の魚」を、J1川崎フロンターレが感謝の思いできれいに平らげた。

10日の全体練習後、クラブの食堂で用意された献立に「スズキのソテー」が登場した。これは東京五輪の選手村で提供される予定だった、千葉・船橋産の「幻の瞬〆スズキ」を調理したものだった。

新型コロナウイルスの影響で東京五輪の延期が決まり、参加アスリートらへの食事で提供される予定だった「幻の瞬〆スズキ」の行き先が宙に浮いた。そんな時、クラブはかつて一緒にイベントを実施したことのある漁業関係者から連絡を受けた。千葉・船橋出身の鬼木監督が率いているという縁もあり、無償提供を提案されると快諾した。

切り身の状態で40尾分で、大きさは東京五輪用で大きめの特別サイズのものが納品された。川崎Fは今月、猛暑の中で9試合と過密日程をこなす。リーグ戦8連勝中、公式戦11戦無敗とはいえ疲労もたまってきている選手たちのことを考え、食欲をそそるガーリック味のソテーに仕上げられた。

中3日で12日に迎えるルヴァン杯名古屋戦での1次リーグ突破に向け、「五輪めし」からもパワーを得た様子。鬼木監督は「船橋がスズキの漁獲高が日本一というのは知らなかったのですが、今回伺ってみてびっくりしています。オリンピックは延期になってしまい、選手村では提供できなくなってしまったということですけど、このスズキを世界から来るアスリートの方々に食べてもらいたかったなという思いですね。非常においしい魚なので、アスリートだけじゃなく、広く皆さんに食べてもらえたら良いですね」。東京五輪世代のMF田中碧も「すごくおいしいですね。身がしっかりしていますね。外はパリッとしていて中はフワフワですごく食べやすいですし、ごはんが進みます。今日の練習も全力でやりましたけど、疲れている中で食べてみて元気が出ますし、おいしく食べられているのでありがたいですね。オリンピックで選手向けのこういう食材が用意されているのは知らなかったのですが、こういうおいしいご飯を食べられることを想像すると、オリンピックに出たいなという思いも出てきますね」とコメントした。