昨季の天皇杯王者ヴィッセル神戸が、大会2連覇を狙う川崎フロンターレに惨敗を喫した。8月26日のJ1リーグ戦は互いに譲らない、2-2の白熱の引き分け。わずか1週間で同じ対戦カードとは思えない、神戸の姿だった。

試合後の会見で、フィンク監督は肩を落とすしかなかった。

「こういった大差負けでカップ戦が終わったのは、非常に残念。前半の序盤でパスミスなどが多すぎて、相手をゴールに招待している状態だった。うまく乗り越えて、先にあるもの(J1リーグ戦やACL)に集中しないといけない。0-6で1度負けた方が、0-1で6度負けるよりは次に向けていい」

前半から自陣で球を喪失したり、パスカットもされた。対人プレーで競り勝つ部分も少なく、0-3で折り返した。だが、後半1分にはGK飯倉のミスから失点してしまい、事実上勝敗は決まった。

自身も決定的な場面で球を失う場面があったMF山口は、声を振り絞った。

「川崎Fは全員が球にかかわり連動していた。うちはサポートがなく、孤立する場面が多かった。基本的に0-3だったので、後半は前から点を取りにいく中で、ミスからの失点は想定外だったし、うまくリズムに乗れなかった。自分たちを見つめ直すことがたくさんある」

FW藤本も「うちがやりたいことを全部やられた感じ。前からのプレスもはまななかったし、相手ははまってショートカウンターでやられた。(1週間前の)J1リーグ戦は、自分たちが優位に立って試合を運べて、いい部分をたくさん出た試合だったのに」と悔しがった。

今回はタイトルに直結するトーナメント初戦だっただけに、右足首を痛めて欠場が続いていたMFイニエスタを公式戦4試合ぶりに復帰させた。だが4点を追う後半途中からの出場では効果はなかった。後半ロスタイム、イニエスタがFW古橋に縦パスを通したが、そこから連動ができなかった。指揮官によると、イニエスタが先発しなかったのは、フィットネスに不安があったからという。

これでホームでは公式戦6試合勝ちがない。J1リーグ戦とこの試合で、最近9試合で23失点という守備の崩壊が目立つ。

「ハーフタイムでは、1点ずつ取っていこうと思っていた中で、後半の頭で0-4になると、できることはなかった。過密日程なので選手を休ませるか、誰かを入れ替えるか、ということを考えていた」とフィンク監督。不毛な時間を耐えしのぐしかなかった。

J1リーグ戦の次々節9月9日には三たび、川崎Fと対戦する。3週連続の水曜日対決は、神戸のプライドを懸けたリベンジ戦になる。【横田和幸】