J3に参戦しているガンバ大阪U-23チームが、8月以降は調子を上げている。最近5試合で3勝2分けと無敗。それまで6連敗もあったが、9月2日の第13節終了時点で、4勝3分け6敗の12位まで浮上してきた。

この5試合中には、首位で無敗のブラウブリッツ秋田の敵地に乗り込んで1-1と引き分けたり、福島ユナイテッドFCの敵地で相手に今季初のホーム黒星をつける4-2の快勝を飾ったり。

セレッソ大阪U-23を含めて、育成目的でJ3に参加しているため、J2昇格などの目標がなく、あくまでトップチームに抜てきされてJ1リーグ戦で戦うことが、選手の動機付けといえる。

23歳以下のこのチームの指揮を任され、就任2年目の森下仁志U-23監督(47)は昨年、9勝8分け17敗の17位で1年目を終えている。選手との対話に重点を置き、長所を伸ばす育成方法で、昨年はFW食野亮太郎や中村敬斗を一本立ちさせ、世界へと送り出した。今季は17歳のFW唐山翔自をブレークさせている。

森下監督は4日、オンラインで取材に応じ「(ここ最近の試合で)結果がついてくることで気分的にも前向きになれるし、勝つことで成長のスピードが上がる。選手に一番、自信になるのは内容の部分」と、手応えは昨年以上のものをつかんでいることを明かした。

J3の場合、試合前日までメンバーが決まらない。トップチームでけが人が出た場合など、J1リーグ戦を最優先に人選されるからだ。仮にJ3で人数が足りない場合はユースから選手を加え、遠征にはバスで片道8時間以上費やすのも日常的。GKの控えもいない試合が多く、フィールド選手がGKを兼務する覚悟を持って臨んでいる。高体連のチームと比べ、決して恵まれた環境でもない。

それでも今季は、ルヴァン杯1次リーグ敗退が決まり、消化試合となった8月12日の湘南ベルマーレ戦(BMWス)は事実上、トップチームではなくJ3のメンバーで臨んで2-1で勝利した。唐山がJ1の公式戦デビューで、いきなり2発を決めた。

この日、取材に応じた入団3年目のDF山口竜弥(20)は「ルヴァン杯が終わってから、前線のメンバーが一皮も二皮もむけて、風格、自信が出てきた。後ろから見ていて頼もしい。後ろが1点取られても、取ってくれる感じで助けてもらっている」と深まった信頼関係を強調する。ユースから昇格2年目のMF奥野耕平(20)は「自分たちのスタイルをやり続けてきた結果」と胸を張る。

「目標はトップに1人でも多く選手を送り込み、チームに定着して支えられる存在にしたい。個人を育てるのはもちろんだが、グループを生かし、チームを生かしていけば、個人が生きることがある。選手個々の短所を消すぐらい、長所を伸ばしたいといつも思っている」と森下U-23監督。

現監督のDF宮本恒靖、MF稲本潤一、家長昭博、FW大黒将志、宇佐美貴史ら、日本を代表する選手を下部組織から育て続けているG大阪は、現在のJ3効果を加え、クラブの価値を高めている。【横田和幸】