北海道コンサドーレ札幌が10試合ぶりの白星を挙げた。9試合連続未勝利(2分け7敗)で臨んだ一戦でサガン鳥栖を2-0で退けた。後半16分、ミハイロ・ペトロビッチ監督(62)の愛弟子、MF駒井善成(28)が先制ゴールを決めると、同21分にはFWアンデルソン・ロペス(27)が2点目を追加し完封勝利。7月26日横浜戦以来の勝ち点3をもぎ取り、順位は13位に浮上した。

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札幌がついに長いトンネルを抜けた。2得点で今季2度目の完封勝利。試合後、ピッチ脇に集まった選手はクラブ関係者らのカメラに向かって記念撮影。喜びがあふれ出ていた。3連敗中で9試合白星から遠ざかっていた。ペトロビッチ監督は「ようやく勝って笑顔でいられる。うれしい瞬間、この勝利を長く待ちわびていた」。にっこり笑い、安堵(あんど)感を漂わせた。

口火を切ったのは、「ミシャサッカー」の申し子だった。0-0で迎えた後半21分、駒井がペナルティーエリア手前から右足を振り抜いたミドルシュートがゴール右隅に突き刺さり先制した。最後に勝った横浜戦以来となるJ1の2ゴール目で、勝ち点3をぐっと近づけた。浦和時代から指導を受けるアタッカーは、指揮官が勝利をつかめず苦しむ姿を近くで見ていた。練習中、ピッチ上で個人的に話し込むこともあった。「お世話になっている監督のために、北海道のために、勝利を届けたいとずっと思っていた。ミシャもすごく元気がなかった」と、自身の1発で恩師に笑顔が戻ったのがうれしかった。

ブレずに突き進んだ成果が実を結んだ。リスクを負ってのハイプレス、攻撃的サッカーで、内容が良くても勝てない試合が続いた。それでも貫き、この日は終始主導権を握った。4失点した前節浦和戦の翌日、失点の場面を映像で見せながら、選手に厳しく説いた同監督は「相手に得点させなかったのは前向きに捉えていい」。イレブンがピッチで表現してくれた修正にうなずいた。

17試合目でシーズンは前半戦を終え折り返した。「このクラブのために、札幌のために、北海道のために引き続き自分の全力を尽くして仕事をしていきたい」とクラブ愛を見せる指揮官のもと、この1勝をきっかけに後半戦の巻き返しを狙いたい。駒井は「今日勝てたことによって、みんな背負っていた重圧から少しは抜けられた。これを機にどんどん連勝を伸ばしていけるように」と誓った。【保坂果那】