新型コロナウイルス感染拡大防止のための入場制限が緩和され、1万1854人の応援を受けた名古屋グランパスが、2-1でヴィッセル神戸に今季3度目の逆転勝ちを収めた。

観客動員の上限5000人が撤廃。最大収容の30%まで上限が引き上げられたホーム豊田スタジアムには、Jリーグ再開後最多となる観客1万1854人が来場。サポーターの後押しを受けた名古屋が、FW金崎夢生(31)のPK2発で逆転勝利し、4位を死守し3位FC東京に勝ち点2差に迫った。

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豊田スタジアムは熱気であふれていた。約4万人の収容人数の30%を上限として初開催され、観客席は1万2500人分を準備。ぎりぎりの1万1854人のサポーターが訪れた。名古屋の勝利の瞬間、最大級の手拍子や拍手で包まれた。「最後の10分、きつい場面で僕たちの走る距離が変わった。自分たちのパワーになった」とMF米本。声出し応援は依然禁止だが、選手には十分な応援だった。

MFイニエスタが率いる神戸に先制されたが、PK2発を決めて逆転の殊勲者になった金崎は「やはり今までの5000人とは、また違う雰囲気。少しでも多く入ってくれれば僕らも勇気づけられる」。PKを蹴る直前は拍手、蹴る瞬間は静寂、そして決まって再び大きな拍手が起きた。

フィッカデンティ監督は「手拍子で鼓舞してもらっているのは心強かった。これで結果を残せなかったら、美談では終われなかった。よかった」と本音をもらした。今季3度目の逆転勝ちを演出したのは、間違いなく観客だった。

クラブ自身が新型コロナウイルスの感染に苦しめられた。6、7月に金崎ら選手やスタッフ、関係者の計6人が感染。社会的責任を果たすため、わずか5日間で3度のPCR検査を独自に行い、選手の行動もより厳しく制限した。この日の試合後、クラブ幹部は「万全の態勢で開催でき、無事に終われたことがうれしい」と感無量の様子だ。

3位東京より、4位名古屋は2試合消化が少ないのに勝ち点はわずか2差しかない。天皇杯出場の2位以内へ、ACL出場の3位以内へ、名古屋の気力は充実している。【横田和幸】

◆Jリーグの入場制限緩和 Jリーグは今週末から観客数の上限を収容人数の50%(収容数1万7000人以上のスタジアムは30%程度)に引き上げた。ただ、地域ごとに感染拡大状況が異なり、スタジアムの形状もさまざまなため、状況に応じて各主管クラブが判断する。依然として感染者数の多い東京は当面、5000人を維持。一方、清水より西のクラブは制限を緩和。最多は名古屋で上限1万2500人とした。