ヴィッセル神戸の立花陽三社長(49)は24日、オンラインで記者会見を開き、元日本代表MFで強化責任者の三浦淳寛スポーツダイレクター(SD=46)が新監督に就任すると発表した。

新組閣も決まり、ヘッドコーチには元神戸監督でもある林健太郎氏(48)が就き、マルコス・ビベス氏(45=スペイン)が引き続いてアシスタントコーチを務める。三浦氏が務めたSD職には、現アカデミー(下部組織)部部長の平野孝氏(46)が就任する。

立花社長は会見で「元々リストアップしていた中で、三浦監督が一番適任だと決断した。まずは18年からSDとして(神戸に)来ていただき、三浦さんを中心にポゼッションサッカーをやろうとスタートした。今のサッカーを継続できる方。元々リストアップしていたが、シーズン途中の交代でチームの特性を知っている三浦さんにお願いをした」と就任理由を説明した。

新監督になる三浦氏は18年2月、05~07年まで在籍した古巣神戸の取締役強化本部本部長兼SDに就任。クラブの経営に携わる人間が、現場トップの監督に就く異例の人事となった。三浦氏は監督就任に必要なS級ライセンスを既に取得しており、今回が初めての監督就任となる。

この日午前、新監督は神戸市内で行われた練習で選手にあいさつし、指揮を執ったという。試合は次節26日の北海道コンサドーレ札幌戦(ノエスタ)が初采配となる。

神戸は22日にドイツ人のトルステン・フィンク前監督(52)の電撃退任を発表した。今季末まで契約は残っていたが、21日に本人が家族の問題を理由に辞意を申し出たことで、23日の鳥栖戦はアシスタントコーチのマルコス・ビベス氏が暫定指揮を執り、8試合ぶりの勝利を飾った。その試合後に三浦氏とクラブで監督の契約を結んだという。

後任候補には、元日本代表監督のハビエル・アギーレ氏(61=メキシコ)も挙がっていたが、新型コロナウイルスの影響で外国人が日本へ入国することも時間がかかり、多くの制約があった。その中で並行して三浦氏の就任を模索してきた。

立花社長は「サポーターに心配をかけて改めておわびを申し上げたい。しっかりとした基盤を新監督に作ってもらい、アジアNO・1を取ろうとクラブは運営している。(スタイルの)継続は非常に重要で長くやっていただきたい」と、結果を求めつつ中期的なチーム作りを目指すことを明言した。神戸では4年連続でシーズン途中での監督交代が起きていた。

三浦氏はこれまでも常にチームの練習を見守るなど、体制移行へは最もスムーズな存在になる。横浜フリューゲルスなどで現役時代からボールを保持しながらパスをつなぐサッカーをしており、神戸の目指すものと近い。

◆三浦淳寛(みうら・あつひろ)1974年(昭49)7月24日、大分市出身。現役時代の登録名は「淳宏」。国見(長崎)、青学大を経て94年横浜F入団。横浜、東京V、神戸を経て10年横浜FCで現役引退。J1通算318試合45得点、J2通算109試合20得点。日本代表として99年6月の親善試合ペルー戦で国際Aマッチ初出場、同月の南米選手権ペルー戦で直接FKを決めて代表初得点(通算25試合1得点)、00年シドニー五輪に年齢制限外で出場。家族は夫人と1女。