J2福岡が16年以来のJ1復帰-。愛媛に2-0。3位長崎が引き分け、徳島との最終戦を残して決めた。神戸や千葉で主将経験がある就任1年目の長谷部茂利監督(49)が、その“キャプテンシー”で率いた。攻守に主導権を握るスタイルで、目標に掲げていた勝ち点「81」に、この日到達。コロナ禍、主力の離脱もあったが、総力戦で乗り越えた。クラブは手腕を評価する長谷部監督続投が基本路線。来季はJ1で「長谷部イズム」旋風を起こす。

    ◇    ◇    ◇

福岡イレブンは勝利を決めた後、ベンチ前で長崎戦を観戦。長崎の引き分けを見届け昇格が決まった瞬間、長谷部監督は両腕を天に突き上げた。皆が監督に飛びついた。気温3度。いてつく寒さの夜空に燃えたぎる熱い絶叫がこだました。

今季の勝ち方を象徴する「先行逃げ切り」で勝負を決めた。前半20分、MF山岸が右CKを押し込んで、先制。同ロスタイム1分、FW遠野が今季11点目を決めた。

開幕前の目標だった勝ち点「81」にも達し、指揮官は「医療従事者やご家族が大変な中、サッカーができる境遇に感謝しています」。昇格の要因を問われ「チームがひとつになれたこと」と感謝。新型コロナウイルスに感染し一時離脱したMF前主将は「この日のためにやってきた。報われてうれしい。J1でどれだけやれるか求めて行きたい」と声を弾ませた。

大型補強が昇格の大きな要因だ。長谷部監督に加え、新たに、大分の監督歴がある柳田伸明強化部長(50)を招聘(しょうへい)し勝負に出た。新強化部長の下、昨季から選手28人中13人を入れ替える大幅なてこ入れを敢行。指揮官が「すごい選手で、日本でやっていることが信じられない」と驚いた元スウェーデン代表DFエミル・サロモンソン(31)の新加入だけではない。長谷部監督と同時に水戸から移籍してきたボランチのMF前寛之主将(25)をはじめ、長崎、大宮でも活躍した188センチのスペイン人FWフアンマ・デルガド(30)、チーム得点王のFW遠野大弥(21)、DF上島拓巳(23)らの加入で戦力が整っていた。さらに、10月には得点力向上を目指し、山形からFW山岸祐也(27)を獲得。ピンポイント補強も功を奏した。【菊川光一】

◆アビスパ福岡 1982年創部の中央防犯ACM藤枝サッカークラブが前身。翌83年、静岡中西部3部からスタートし92年JFL2部優勝。93年JFL1部昇格。94年藤枝ブルックスとなりJリーグ準会員。95年に本拠地を福岡に移転、福岡ブルックスとしてJFL優勝。Jリーグ加盟を決め、アビスパ福岡に改称。「アビスパ」はスペイン語でスズメバチの意味。本拠地は福岡市のベスト電器スタジアム(収容2万2563人)。川森敬史社長。