県勢初の決勝進出はならなかった。帝京長岡(北信越1・新潟)は0-2で2連覇を狙う藤枝順心(東海2・静岡)に敗れた。前後半に1点ずつを許し、追撃を絶たれた。それでも県勢初のベスト4に進出し、足跡を残した。同校悲願の決勝進出、そして全国制覇は高校選手権で2年連続4強に進出した男子に託し、女子としての目標は後輩が引き継ぐ。

あふれる涙が止まらなかった。観客席への一礼を終えると帝京長岡イレブンは目頭を押さえながら引き揚げた。「挑戦者として引かずに戦おう、と話し合った。相手のうまさ、速さにやられた」。主将のDF宮崎彩菜(3年)は言った。

藤枝順心の素早い攻守の切り替えに対し、前線からのプレッシャーで渡り合う。前半は敵陣でボールを支配する場面もあった。だが前半20分、こぼれ球を押し込まれて先制されると主導権を握られた。後半16分には追加点を許した。シュート数は同数の7本も大会4得点のFW末次結依(1年)のシュートは0。セカンドボールを支配され、要所を押さえられた。

無念は松野智樹監督(47)も同じだった。「活動できない期間もあった中で、下を向かずによく頑張ってくれた」。言葉に詰まり、目を潤ませた。昨年5、6月、新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言、部活動自粛の影響でチーム作りに苦しんだ。それでも折れずに一丸になり、県勢初の4強にたどり着いた。「すごい人間力を持ったチーム」。指揮官は選手に最大級の賛辞を贈った。

宮崎主将は「男子を引っ張ろうと思った。先に負けてしまって申し訳ない」と話した。先に決勝に進み、9日に準決勝の山梨学院戦を控える男子を勇気づけることもモチベーションだった。思いは果たせなかった。ただ、魂は伝えた。「ベスト8を超えられてうれしいが目標は日本一だった。満足はしていない。後輩たちは来年、日本一を取って欲しい」と宮崎主将。豪雪の長岡市に、頂点が見えるところまでやってきた手応えを持ち帰る。