Jリーグを代表する2クラブが23日、20年度決算報告の説明会を開いた。鹿島と浦和。鹿島は営業収入が前年度から19億円以上の大幅減となった。入場料収入も広告料収入もかなりの減少。浦和も状況は変わらない。10年ぶりの赤字を定時株主総会で報告した。一般の会社なら、経営陣総辞職も覚悟せざるを得ない非常事態だ。
しっかりとしたバックアップ(親会社)があるクラブでさえ、経営難に苦しいのに、経営母体の基盤が弱いクラブやJ2、J3クラブは今後、もっと悲惨な結果が報告されるだろう。新型コロナウイルスの影響で、入場者数が制限されて入場料収入が減るのは仕方ない。スポンサー料は年間契約のため、契約打ち切りにならない限り、減ることは考えにくいが、この時代に新規のスポンサーを見つけるのは難しい。
スポンサー料は年額が決められていると思われがちだが、実はかなり細分化されている。イベントの回数やホーム試合に何回スポンサーの名前を付けて冠試合にしてイベントを企画するかなど、1度のイベントに1000万単位の金銭が動くこともある。無観客や人数制限下ではイベントも開きづらい。
全盛期の浦和は年間のグッズの売り上げが10億円まで伸びたことがあるが、今や夢のような話だ。サッカースクールの収入源も軽視できない。コロナ禍でクラブ間の移籍や国をまたぐ移籍も激減した。移籍金収入も見込めず、育成型の小規模クラブも当然、台所事情は苦しくなる。
Jリーグの事務局は、経営難に苦しむクラブのため、年間200億円の放送権料、DAZNマネーの配分金を増やし、クラブライセンスの基準を下方修正するなどの策を出している。緊縮財政で昨年度は30億円の経費を削減した。30年までの中長期計画を発表し「ビジョン2030(目標)」の右肩上がりのグラフも発表した。
しかし、あるJクラブの社長は言う。「Jが発表したグラフには具体的な数字が入ってない。入場者数なのか、売り上げなのか。我々経営者から見ると、チェアマン以下、J経営陣の責任逃れ手段にしか見えない。具体的な数字を示してくれないと、クラブは納得しない」。別のJクラブ幹部が続ける。「具体的な目標数字を言わない経営者はいない。達成すれば株主の支援が得られるし、失敗したら謝罪して再信任を求めるか、責任を取るのが常識だ」。
Jリーグは入場者数を順調に伸ばし、19年度は初めてJ1平均入場者数が2万人を超えた。当時も、前年度に「2万人超え」の具体的な目標は掲げていない。「たら、れば」「見えてきた」など、言葉のどこかには必ず逃げ道をつくってきたように見える。経営者としてリスクマネジメントを考えての言動かもしれないが、非常事態の今は当てはまらない。
変異株の拡大にワクチン接種の遅れと、新型コロナウイルスの収束のめどは見えない。J事務局、全クラブが一枚岩で乗り越えないと、大きな後退が目に見える。1年を満たない任期を残す村井チェアマンは、最後の大仕事として具体的な目標を掲げ、全クラブが一体となって危機を打開できるように、強力なリーダーシップを発揮してほしい。【盧載鎭】



