埼玉から東京-。そして「ザイオン」は、世界へと羽ばたく。浦和の18歳GK鈴木彩艶(ざいおん)が、史上2人目となるJ1デビューからの3戦連続完封を達成した。95年の川口能活(横浜)以来、26年ぶりの快挙。20日に発表された東京五輪世代のU-24日本代表のメンバー27人の中で、最年少として“飛び級”で初選出された男は「川口さんは若い時から試合に出られていた。自分も年齢関係なく、落ち着いて臨みたい」とどっしりと構えた。

189センチ、91キロ。ガーナ人の父と日本人の母のもとに生まれた。街を歩けば、NBAウィザーズ八村塁に間違われたこともあった。そんな米国生まれ、埼玉育ちの守護神。後半19分には、ペナルティーエリア左からMFイニエスタのシュート性のクロスをファインセーブするなど、ゴール前で圧倒的な存在感を示し、無失点に抑えた。

五輪初戦の7月22日は18歳335日。出場すれば、04年アテネ五輪のFW平山相太(19歳67日)を抜いて史上最年少となる。かつて「東京五輪も選ばれる権利はあると思う」と話していた男。「Zion」と言えば、八村の同期で19年NBAドラフト全体1位のペリカンズの「怪物」ザイオン・ウィリアムソンが世界的には有名だが、日本にも「ザイオン」ありと世に知らしめる。【栗田尚樹】