東京五輪日本代表FW前田大然(23)の3得点1アシストの活躍で、横浜が大分に5-1で快勝した。消化試合数の違いで一時は21あった首位川崎Fとの勝ち点差は、5カ月ぶりに6まで縮まった。首位と2位の勝ち点差が6以内になったのは3カ月半ぶり。川崎Fの独走状態だったJリーグが、分からなくなってきた。

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日本代表FWオナイウが抜けても、横浜には前田がいる。前半30分、FW仲川の右クロスに走り込んで1点目を決め、娘と約束した「バイキンマン」のポーズ。後半はFWレオ・セアラのゴールをお膳立てした後、DFの裏に抜ける動きでフィードを引き出し、ループシュートで2点目。38分には、FWエウベルの左クロスを頭で押し込み3点目を決めた。ハットトリックで、J2水戸時代のシーズン最多13得点に並んだ。「素直にうれしい。2点目、3点目のパフォーマンスを考えていなかったのは反省かな」と笑った。

スプリント回数は、今季J1最多の64回を記録した。自陣に戻って守備をする場面も多く、攻守に労を惜しまず90分間献身した。先発した左サイドではスピードを存分に生かし、ラスト15分はワントップに入って得点も決めた。1人で何役もこなす前田に、マスカット監督は「前線は選手層が厚く、(試合に出るには)どれだけのことが必要か分かっている。五輪から戻った後、フィジカルは落ちていた。もっと良くなる」とさらなる期待を寄せた。

チームはついに首位川崎Fの背中をとらえた。ACLのため相手が5試合多く消化していた6月2日時点で、勝ち点差は21あった。横浜は11戦無敗で猛追し、前日引き分けた川崎Fとの差をグッと詰めた。12月4日、最終節の直接対決まで、優勝を諦める気などない。前田は「五輪で悔しい思いをしたので、チームで取り返そうと思っている。もっと点を取れるようにしたい」と逆転優勝を見据えた。【杉山理紗】

▼ハットトリック 横浜FW前田大然(23)が15日の大分戦(ニッパツ)で3得点。自身J1初。今季J1で5度目、通算246度目。横浜では21度目だが、ニッパツ三ツ沢球技場では98年3月28日の広島戦でFWサリナスが達成して以来、23年ぶり6度目。