日本初の女子プロサッカーリーグ「WEリーグ」が12日、INAC神戸-大宮戦で開幕し、INAC神戸が5-0で大勝した。11年女子ワールドカップ(W杯)ドイツ大会優勝メンバー、FW高瀬愛実(30)がリーグ第1号を含む2ゴール。次世代を担う17歳FW浜野まいかも2得点した。なでしこリーグを昨季制した三菱重工浦和は日テレ東京Vに2-1で競り勝った。1年目は11クラブが参加し、来年5月に終了する。

世界一を知るFW高瀬が、女子サッカー界に新たな歴史を刻んだ。前半4分、MF成宮がシュートしたこぼれ球に反応。右足で記念すべきリーグ初ゴールを決めた。後半12分にもMF阪口からの縦のロングパスに抜け出し、右足で落ち着いて5点目を決めた。高瀬は「(第1号に)めちゃくちゃうれしい。開幕戦で緊張もあったが、早い時間帯に点をとれて勝てて良かったです」と笑顔をはじけさせた。

上限5000人の有観客開催で、4123人が来場。プロとしての喜びをかみしめていた。09年にINAC神戸に入団。10年1月に代表戦初出場を遂げ、11年ドイツW杯代表にも選ばれ、世界一を経験した。それでも職業を聞かれると、ほぼプロに近い形ではあっても、職業欄には「プロ」ではなくて「正社員」と、表現する日々が続いた。

しかし、INAC神戸一筋でサッカーに励んでいた最中、WEリーグが発足。正式に女子のプロという希望の光が舞い込んできた形だ。サッカーに専念できる環境が用意され、「プロサッカー選手」の立場になった。「胸を張って(サッカー選手が)仕事ですと言えるのは、本当に幸せだということを改めて感じた」

その喜びを表現するかのような2ゴール。高瀬は開幕日を「気迫だったり、気持ちをピッチで表現する日だった」ととらえていた。

「自分たちの思いをプレーで表現できたと思う。個人的にはプロ化になって『魅せる』ということが大事だと思っている。見てくださった方がINACのサッカーは楽しいと思ってもらえたら本当にうれしい」と熱い思いを吐露した。開幕戦は関西ローカルながら、ABCテレビで地上波放送もされ、さらにこう続けた。

「リアルタイムで見てくれた人たちに、また見たいなと思ってくれるような試合を、次もしなきゃいけないと思う。女子サッカーの輪を広めていきたい」

プロの役割と覚悟を胸に、新たなページに名を刻んだ高瀬は、これからもピッチで楽しませるプレーを届ける。【三宅ひとみ】

◆高瀬愛実(たかせ・めぐみ)1990年(平2)11月10日、北海道北見市生まれ。小1でサッカーを始める。09年にINAC神戸。12年には得点王、MVP。日本代表通算61試合9得点。11年サッカー女子W杯ドイツ大会優勝、12年ロンドン五輪準優勝。164センチ、61キロ。