J2京都サンガの曹貴裁監督(52)が、就任1年目でチームを2010年以来のJ1へと導こうとしている。15日は、次節群馬戦(17日、アウェー)に向け京都・城陽市内で調整後に取材対応。J2リーグ戦は9試合を残し、首位磐田に勝ち点2差の2位。上位2クラブがJ1に自動昇格する今季、3位長崎とは勝ち点9差開いており、多少の余裕を持って終盤戦に入ることになる。

クラブにとっては12年ぶりの昇格がかかっており、同監督は「プレッシャーがあるかないかと言われれば、プレッシャーのない仕事なんて面白くない」と強調する。チーム内に気の緩みはなく、精神的にも充実して残り試合へと向かう。

曹貴裁監督 まだ9試合、何が起こるかは分からない。プロは試合に勝つことはもちろんだが、毎日のトレーニングを100%でこなすことも仕事。(前節)相模原戦の勝ち(2○1)でホッとしている選手は1人もいないし、1ミリもそんな気持ちはなかったです。(現在は)きちんと目的のある練習が、糸の張った緊張感の中でできている。

オンとオフの切り替えが、うまくできているのだろう。緊迫感のある練習を行いつつも、ピッチから離れれば曹監督や選手からは笑顔があふれ、チームの雰囲気は良さそうだ。この日の取材対応では試合への意気込みを熱く語りつつも、最後には食生活の話題に“サイドチェンジ”。コロナ禍で外食を自粛していたが、最近足を運んだ中華料理店の話題を持ち出した。

曹貴裁監督 なかなかお店で食事ができなかったのですが、10人中8人くらいが天津飯を食べているお店があった。今度行く時はサンガの旗を持っていこうか。でもサンガを知らんかったらショックやなあ。休みの日に、昔よく行った左京区にあるカレーうどんが食べたくて店に行ってみたら閉まっていた。百万遍のギョーザ屋はなくなっていてショックでした。

残り9試合のうち、11月7日には首位磐田との直接対決も控えている。ジュニアユースからの生え抜きのGK若原智哉(21)は「監督からは昇格を意識することによって積極性が失われてはいけない。自分たちの良さを出せば結果は付いてくると言われています」と明かす。

京都で育った曹貴裁監督。持てる力を振り絞り、故郷のクラブを、長らく遠ざかっているJ1の舞台へと復帰させる。【益子浩一】