コンサドーレ札幌は20日、アウェーでサガン鳥栖と対戦する。前節6日清水エスパルス戦(2△2)でゴールを決めたMF深井一希(26)にとって、今季限りで現役を引退したプロ野球日本ハム谷口雄也外野手(29)は同じケガを乗り越え、励まし合った“仲間”だ。ユニホームを脱ぐ決断をした谷口と深めた絆を力に変え、残り3試合に力を尽くす。

深井が谷口と出会ったのは17年4月。左膝前十字靱帯(じんたい)の手術を札幌市内の病院で受けた時だった。同3月に右膝の同所の手術を受け入院中だった谷口とは、向かい合った個室同士で意気投合。執刀医も同じでリハビリも一緒に取り組んだ。深井の家族が見舞い時に谷口の分も差し入れを持って来るようになるなど、親交が始まった。

深井はプロ入り後、両膝合わせて5度手術を受けている。左膝はこの時3度目だった。「前十字靱帯の手術を受けて、治ってからの難しさを僕は重々分かっている。だからこそ谷口君にも頑張ってほしいと思っていた」。退院後も谷口の復帰を願い、気に掛けていた。谷口も同じで、19年10月にルヴァン杯決勝川崎フロンターレ戦で同点ゴールを決めた時にはメッセージが届いた。「谷口君に限らず、同じ膝のケガをしている人にとっては元気づけられたのかな」と振り返る。

深井は自身のツイッターをほとんど更新しない。「普段からちゃんと更新する人はすごく偉いと思うけど、僕はそういうタイプじゃなくて。本当に大事な時に書けば、より重みが増すかなと思う」からだ。そんな深井が10月27日に投稿したのが、谷口へのメッセージ。現役最終打席の動画を引用し「現役生活本当にお疲れさまでした!」とつづった。安打を放った勇姿に「感動した。あそこで打つのはすごくうれしかった」と、勇気をもらった。

引退を知ってすぐに本人にも連絡した。「やりきって悔いはないと言っていて、それはすごい良かった。僕にも悔いないように頑張ってって言われた」。託された思い、エールに気持ちを奮い立たせる。

8月から10月まで離脱した。17年のあの時、手術を受けた左膝の痛みのためだった。「4年たつけど、その傷痕がずっと痛い。その痛みとの戦い」。それでもピッチに舞い戻る。前節清水戦では12試合ぶりに先発し、13試合ぶりゴールを決めた。「活躍し続けることで、谷口君のセカンドキャリアにとっても刺激を与えられる存在になれば」。躍動する姿を見せ続けることが、励ましとなる。【保坂果那】