来季J2に降格する大分トリニータが、2連覇を狙った川崎フロンターレをPK戦で破って九州のJリーグクラブとしては初めて決勝(19日・国立競技場)に進んだ。チームとして高いモチベーションを保ち、今季J1王者の猛攻を堅守で耐えた。

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J2降格が決まっている大分が、J1王者の川崎FにPK戦の末に、ジャイアントキリングを果たして、初の決勝進出を決めた。

守護神のGK高木が、神がかりのセーブで古巣からの金星を呼び込んだ。PK戦はサドンデスに突入。後攻の相手7人目のDF山根のシュートで逆をつかれたが、右手1本を伸ばす懸命のパンチング。「最後、自分が止めたが、勝利か分かってなかった」というほどの集中力で3本を阻止だ。

大金星の瞬間、今季限りで退任して、来季はG大阪の監督に就任する片野坂監督は両手でガッツポーズして、背中から大の字に倒れ込み両手で顔を覆った。「絶対王者の川崎フロンターレに勝っての決勝。まさかという思いで信じられなかった」と声を震わせた。

粘って持ち込んだ延長後半8分、先制された。それでもあきらめない。同ロスタイム、パワープレーでDFエンリケ・トレヴィザンも前線へ。フリーのMF下田からの縦パスに、相手DFに競り勝ってヘッド弾。「リーグ戦は苦しく勝利に結びつかなかったが、勝利でサポーターに恩返しをしたかった。歴史が更新できてうれしい」。粘って、粘って、PK勝ち。番狂わせのお手本のような試合だった。

勝ちにこだわった成果だ。片野坂監督がJ3から指揮して6年目。本来、3バックからビルドアップでボールをつなぐ攻撃的なスタイルを貫いてきた。だが、J1得点王のFWダミアンら川崎Fの攻撃力を封じるため、強靱(きょうじん)な外国人DF2人を中央に置く4バックを採用。スタイルをかなぐり捨てた。それでも、28本シュートを打たれ14本のCKを与えるなど、サンドバッグ状態。それでもJ2に降格した悔しさを糧に、食い下がった。

初決勝に「最高の結果で終われるよう準備したい」と指揮官。初タイトルに王手をかけた。【菊川光一】