G大阪が約2カ月ぶりの白星を挙げた。アウェーの名古屋戦は2-0の完封で、松田浩新監督(61)就任後2戦目で初勝利。前半3分にブラジル人FWパトリック(34)が右足で今季2点目となる先制弾を決め、後半42分には今夏に加入したFW鈴木武蔵(28)が移籍後初ゴール。6月29日広島戦以来の勝利で16位に浮上し、自動降格圏は脱出した。C大阪は0-3で広島に敗れ、4連勝を逃した。

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勝利への飢えを右足に込めた。後半42分。GK東口からのボールを、左寄りでFW鈴木が収める。中央に流れながら、ゴールを見た。思い切り振り抜く。ファーサイド、名古屋GKランゲラックの左手指先をボールはすり抜けていった。試合を決める“スーパーミドル”は、今夏にベールスホット(ベルギー)から加入後初得点。札幌に在籍した20年8月8日清水戦以来のJ1での得点になった。

「ボールを収めて展開しようと思ったんですけど、ぽっかり(スペースが)空いていたし、打てる間合いだったので振り抜きました。イメージ通りです」

長いトンネルにさまようチームにとって、かすかな光になった。6月末の広島戦以来、公式戦9試合ぶり(天皇杯1試合含む)の白星。2カ月も勝利から見放され、J2降格の危機に立たされた。17日には片野坂監督を解任。08年にACLを制覇し、14年には3冠を達成したかつての常勝軍団は今、どん底であえぐ。

前半3分にブラジル人FWパトリックが今季2点目となる先制弾。この日はDF昌子がメンバー外となったが、球際の激しさを求めた守備陣はリーグ戦8試合ぶり完封で踏ん張った。松田監督は「選手に感謝」と言いつつも「これから先はこれ以下はダメ。これ以上を積み重ねていく。まだ疑心暗鬼でやっているところもあるので、改善の余地はある」と指摘した。

16位浮上も、まだJ2降格圏は変わらない。残り8試合。厳しい戦いは続く。

◆鈴木武蔵(すずき・むさし)1994年2月11日、ジャマイカ生まれ。ジャマイカ人の父と日本人の母を持ち、桐生第一から新潟。J2水戸、新潟、J2松本、長崎、札幌を経て20年夏にベールスホットへ。16年リオデジャネイロ五輪代表、19年日本代表入り(国際Aマッチ通算9試合1得点)。185センチ、74キロ。