ガンバ大阪は31日、大阪・吹田市の本拠地パナソニックスタジアム吹田で記者会見を開き、選手らへの指導の適正範囲を超えた不適切な言動により、ユース監督退任となった森下仁志氏(50)の問題について説明した。
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森下氏は現役時代、J1通算202試合9得点の実績がある熱血漢のMFだった。鳥栖監督時代は鎌田大地を鍛え上げた。19年に古巣G大阪に復帰し、J3に参戦するU-23チームの監督に。食野亮太郎や中村敬斗ら、のちに日本代表級になる金の卵を育てた。
プロの2軍に相当する若手へは、精神的な助言を送るのがうまく、厳しい練習も乗り越えさせた。実際に当時の若手は「成長できたのは仁志さんのおかげ」と口をそろえ、G大阪は21年から全幅の信頼を寄せ、ユース監督を任せた。
しかし、プロに関係なく、過度な指導が許される時代ではない。ましてやユースはプロ予備軍とはいえ、まだ高校生。関係者によると、厳しさを前面に押し出した森下氏の指導は、反発を招き、けが人も多く出たという。必然的に成績も不振を極め、昨年はユース年代最高峰のプレミアリーグ最下位に沈み、今年から2部相当のプリンスリーグに降格した。この数年で蓄積した選手らのSOSが今回、内部通報につながった。
この日の会見でクラブ側は、今回の聞き取り調査で初めて過度な指導があったことを知った、と繰り返した。クラブの管理体制の甘さは、早急に見直されることになる。かつて宮本、稲本、宇佐美、堂安ら世界に通用する選手をユースから輩出したJリーグ屈指の名門は、大きな岐路にさしかかった。【横田和幸】