首位のヴィッセル神戸が勝ち点7差で6位のセレッソ大阪を迎えた試合で、ウノゼロ勝利。サンフレッチェ広島に敗れた前節を引きずることなく結果を出し、首位を堅持した。
選手やポジションを入れ替えて臨んだこの試合で、神戸MF佐々木大樹(24)が、ついにヒーローになった。
後半14分、DF初瀬亮(26)のロングボールにC大阪守備陣の裏へ抜け出すと、最後はDFを右手で押さえながら、左足でシュート。「ああやって体を当てるプレーは好きなんで」とゴール左へ蹴り込むと、満員の観衆で埋まる神戸ゴール裏に向かって走り、何度もほえて喜びを爆発させた。同38分に足をつって退いたが、試合終了後には再びゴール裏で歌い、飛び跳ねた。「最近自分のチャント(応援歌)ができたんで、歌わせてもらいました」。
この試合では、対面する日本代表DF毎熊晟矢(25)対策もあり、左ウイングで起用された。J2長崎のコーチだった20年に、毎熊にサイドバック転向を勧めた過去を持ち「毎熊の怖さは1番自分がわかっている」と話す吉田孝行監督(46)は「大樹の体の強さとキープ力で、(毎熊を)攻守に消したかった」とこの試合のキーマンとして佐々木をチョイス。「期待以上の活躍をしてくれた」と手放しで褒められるパフォーマンスで、勝利の立役者となった。
今季5得点目となる佐々木だが、これまでは自身の得点で勝利をもたらす機会はなく、ヒーローになりきれなかった。それでも5月7日横浜FC戦から4カ月半ぶりとなるゴールで、スポットライトを浴びた。
17日に誕生日を迎えたばかりの24歳は「ヒーローになれたっていう実感はないけど、やっとちょっとだけ貢献できたかなと思ってます」と充実の表情。阪神、オリックスに続く関西勢の優勝に向けて「野球が『アレ』なら、サッカーは『コレ』したいと思います」とリーグ初制覇に向けて高らかに宣言した。