セレッソ大阪が、9試合ぶりの勝利で連敗を4で止めた。
試合後のインタビューに応じた小菊昭雄監督(49)は「ピンチの場面でも全員が粘り強く、勝利のためにハードワークした結晶だと思う」。指揮官の言葉が心なしか詰まったように聞こえるほど、険しい道を進んで得た尊い1勝だ。
21年8月にレビークルピ当時監督の解任を受け、コーチから昇格した小菊監督。シーズンをまたいでの連続未勝利は、22~23年に9試合を経験したが、同一シーズンの8試合は今回が初めて。4連敗も自己ワーストだった。
6月30日の名古屋グランパス戦以来、約2カ月半ぶりの勝利。未知の世界を経験した指揮官は「久しぶりの勝利ということで、苦しい時間が長かった。もちろん、いい内容で勝ち点3となればよかったが、とにかく勝利にこだわることを(選手と)共有していた。(先制点を許しても)チームがバラバラにならず、折れずに戦えたところが勝因です」と言った。
前半12分に早々と失点したものの、同21、24分のFWレオ・セアラ(29)の連続ゴールで逆転。22年7月16日のガンバ大阪戦以来、実に約2年2カ月ぶりという逆転勝利。“先制点を取られれば終わり”という現実を、全員で跳ね返した。
小菊監督は、愛知学院大からアルバイトとして98年にC大阪の下部組織コーチに就職。スカウト時代は当時高校2年の香川真司を入団させ、クラブがJ2に落ちた時、17年にルヴァン杯と天皇杯の2冠に輝いた時、どんな時も、コーチや強化スタッフとして現場を支えてきた。
今回の不振のトンネルに入っても、クラブ一筋27年の指揮官は「僕の人生、もっとしんどい時があった」と、下は向かなかった。一部から批判があっても、無理してでも前向きでいた。
開幕からボール保持にこだわるあまり、ミスから失点を重ね、融通の利かないサッカーに陥っていたが、ここにきて開き直りも見せる。カウンターを織り交ぜ、守備ではこの日、後半20分に5バックを採用し、早々と逃げ切りを図った。クラブが目指す“わくわくするサッカー”ではないが、勝利を最優先にした。
好調のFW北野颯太(20)を約5カ月半ぶりに先発させ、今季わずか2試合出場のMF阪田澪哉(20)を途中起用。ベンチワークに迷いはなかった。
「久しぶりに出た選手、先発を勝ち取った選手、みんなが精いっぱい戦い、バトンをつないでくれた」
この勝利で12位から10位へと浮上。数字上は残り8試合を全勝すれば、勝ち点は65まで伸びる。逆転優勝は既に絶望的だが、5位前後は狙える位置に戻ってきた。
最近は「1つ勝つことで、V字回復できるチーム状況にある」と言い続けてきた小菊監督。7月7日の七夕に誕生日を迎え、この日の勝利は49歳初めて。上位再浮上へ、その号砲となるかもしれない。
◆前回のC大阪の逆転勝利 22年7月16日、G大阪戦(パナスタ)で2-1と逆転勝ち。前半に先制され、後半7分にFW山田が同点ゴール、終了間際にはFWパトリッキ(現神戸)がロングカウンターから決勝点を挙げた。劇的すぎるダービーの勝利に、試合後の会見で小菊監督は「これから語り継がれる歴史的な勝利になった」と名言を残した。



