アルビレックス新潟はホームでヴィッセル神戸に痛恨の逆転負けを喫し、2連敗となった。0-1の前半31分にFW長倉幹樹(24)がMF谷口海斗(29)の左クロスを頭で合わせて試合を振り出しに戻すと、同36分、FW小野裕二(31)が左DF橋本健人(24)のラストパスに抜けだし勝ち越し弾。しかし、何度も突き放すチャンスがあった後半に決めきれずにいると、同28分に一瞬の隙を突かれて同点とされた。そして追加タイム5分過ぎの右CKから決勝点を献上。ラストワンプレーで昨季王者に屈した。

   ◇   ◇   ◇

2-2の後半追加タイム。右CKから決勝点を奪われ、新潟が勝ち点を失った。それでも随所で“らしさ”は披露した。1-1の前半36分。ラストパスに抜け出した小野が今季4得点目を挙げた。相手GKの左脇下を狙う正確なコントロールショットを右ポスト内側に当て、ゴールネットを揺らした。

この得点は、今夏にJ2徳島ヴォルティスから完全移籍で加入した橋本が、針の穴を通すようなスルーパスで演出した。ハーフウエーラインを少し越えたところから、相手の最終ラインを寸断するような鋭いグラウンダーをゴール前に走り込む小野に配球した。

「いいタイミングで右からパスを受け、いい位置にトラップを置けた。(小野が)いいところに走ってくれた。(パスを)届ける自信はあるので」

かねて、パスを受ける前に、次のプレーの選択肢を複数イメージしながら攻め上がり、ゴールの可能性を感じるエリアにラストパスを届けると話していたレフティーの“技”が凝縮したアシストだった。

2-1の後半23分には、ペナルティーエリア左角からゴールバー直撃の左ミドルを放った。「あそこは得意な位置。あそこを仕留めていれば試合は違った流れになっていた。相手との質の差が出た」と悔しがったが、可能性のあるプレーで何度も好機をつくり出した。

そして左サイドでは、日本代表経験者の神戸MF武藤、DF酒井とマッチアップ。「個で守るところとグループで守るところを使い分けたい」と意気込んでいただけに、悔しい敗戦となった。「やっぱり一瞬でも隙を見せたらやられる怖さがあった」。後半28分には武藤が逆サイドに流れ、同点弾を奪われた。「(センターバックの)千葉さんとのコミュニケーション不足。ひと言かけたけど、結果的には僕がマークについて行った方が良かったかもしれない。守備陣として3失点はいただけない」と反省しきりだった。

昨季王者に好ゲームを展開しながらも、つかめなかった勝ち点3。「決め切るチャンスは自分を含めてあったし、もっと試合を支配できる時間帯もあった」。上位浮上を狙うには、チームとしてさらにクオリティーを上げながら関係性を深めていく作業が必要だと話す。個人としては1アシストと結果を残したが、「疲れてきた中でのパスや、判断の質が低下してしまった。また、試合が熱くなってきた中での冷静さは自分にまだまだ足りないと感じた」と好パフォーマンスにも納得はしなかった。

チャンスを確実に生かし、勝利に結びつける上位チームとの差。「相手は不利な状況でも前を向く力だったり、1本のランニングとパスでゴールを決めるクオリティーを感じた」。言葉からにじみ出る相手へのリスペクトと、悔しさ。「最終的に、試合を決める選手になりたい」。自身2度目のJ1舞台で輝き始めた24歳。もっと強くなり、チームを勝たせるスペシャルな左サイドバックになる。【小林忠】