前節5位のサガン鳥栖が、MF西川潤(23)のプロ初となる3試合連続ゴールで執念のドローに持ち込んだ。

連勝は2で止まったものの、J1昇格プレーオフ圏内の暫定6位に踏みとどまった。

0-1の敗色濃厚で迎えた後半42分だった。敵陣左サイドで得た直接FKを、MF西矢健人(25)がゴール前に転がす。

そこにペナルティーエリア付近に数歩駆け上がった西川が、得意の左足でグラウンダーのコントロールショットを放った。

西川の前方には5人ほどの相手選手が密集する中、奇跡的なゴールが右隅に転がりこんだ。

殊勲の西川は「練習でやっていた形だったんで、それが出てよかった。しっかり、自分たちのチャンスを狙って、同点にできたことは良かった。(3戦連発は)非常にうれしい」と、冷静にミラクルショットを振り返った。

今季でプロ6年目。桐光学園(神奈川)時代から超高校級の左利きアタッカーとして、バルセロナからも興味を持たれた。だが、C大阪入り後は主力に定着できず「早熟」とも呼ばれ、J1鳥栖、J2いわき、そして今季、J2に降格した鳥栖に再び期限付き移籍してきた。

鳥栖では、C大阪時代の恩師だった小菊昭雄監督(50)と再会し、まるで西川が「大器晩成」に思えるほど変化し、成長した。

過去2試合連続ゴールさえなかった男が、これで3試合連続弾。前々節甲府戦は泥くさく左足で起死回生の同点ゴールを奪い、逆転勝ちに導いた。

前節熊本戦は利き足と違う右足で芸術ダメ押し弾。年間5得点は自己最多を更新し、出場時間1931分となった。昨季いわきで記録した2163分を残り7試合で更新するのは確実。

スタミナ切れでフル出場が年間2試合が最多だった男は、今季は既に6試合。この最終盤の6試合中、4戦がフル出場だ。ピッチに立ち続けて、仲間に気迫を示す立場になった。

「これでチームがまた、次の試合に勝てるように準備していきたい。しっかり失点しないところと、しっかり自分たちでゴールを決めきるところ。もっと精度を上げて、これからの試合に臨んでいきたい」

直線的なプレースタイルも身につけ、泥くさいプレー、愚直に走り続ける姿はもう当たり前。野性的で鋭い目つきは、昔の西川ではない。

鳥栖のチーム内では今、劇的に生まれ変わった西川に対し、敬意を込めて「ジュン・ニシカワ」と呼ぶことがあるという。まるで外国籍選手のような存在感があるからだろう。残り7試合も、西川が鳥栖を1年でJ1に復帰させるために戦う。

○…試合後の鳥栖小菊昭雄監督(50)は「選手は0-1で負けていて、時間の経過で焦る気持ちもあったが、最後までやるべきことをまっとうし、スタイルをぶれずにやり続けたことがあの崩しにつながった」と、西川の同点弾の場面を振り返った。9位今治に勝ちたかったが「この勝ち点1は非常に大きい。ラスト7試合、まだまだ成長できる。強いチームに前進していく」と宣言した。

◆西川潤(にしかわ・じゅん)2002年(平14)2月21日、神奈川・川崎市生まれ。横浜ジュニアユースから桐光学園へ。高校3年時は特別指定でC大阪でプレーし、20年プロ契約。22、23年は鳥栖へ、24年はJ2いわきへ、25年は再びJ2鳥栖へ期限付き移籍。J1通算66試合2得点。J2通算64試合8得点(今季29試合5得点)、J3通算1試合無得点。19年のU-20W杯には17歳ながら飛び級で選出され、同年U-17W杯は4試合2得点2アシストと活躍。180センチ、70キロ。