東京Vが、経営規模を縮小して再出発する。16日、日本テレビが保有するクラブ株式の約98・8%のすべてを、7月に設立した「東京ヴェルディホールディングス株式会社」へ譲渡することが発表された。クラブ臨時株主総会で了承された。読売クラブの発足時から運営してきた読売グループは経営から完全撤退となる。9月中に株式譲渡を終え、10月1日からは運営会社名を「東京ヴェルディ1969フットボール株式会社」として、新たなスタートを切る。

 新たな親会社となる東京ヴェルディホールディングス株式会社は、クラブ経営を目的として7月7日に設立された。崔暢亮会長(48)、渡貫大志社長(47)は、ともにユース出身者。崔会長は「なかなかクラブの経営パートナーが見つからない中、経営規模を小さくしていけば、OBで支えていけるのではないかと考えた」と、経営に乗り出す理由を話した。

 これまでは、クラブの赤字を日本テレビが業務委託費として補てんする形を取ってきた。昨年は約40億円の営業収入のうち半額以上を補てんされた。今年は約20億円の規模に縮小しているものの、やはり赤字は間違いない。来季からは、親会社に頼る経営方法ではやっていけない。崔会長は「身の丈にあった経営にしなければいけない。育成、普及というところをきっちり強化していかなければいけない」と方針を語った。

 現在スポンサーと詳細を検討している段階だが、今年のさらに半分程度の規模で経営することになりそうだ。昨年は元日本代表選手ら10人以上を大量解雇したが、今オフも戦力の大幅な見直しは避けられない。また、本拠地としている味の素スタジアム、東京都稲城市にある練習場は変更しない。ただ、練習場は年間に約4億円と高額な賃料がかかり、身の丈にあった経営の弊害となる。崔会長は「そこは(持ち主の)読売グループさんのお知恵を拝借しながら検討していく」と説明した。当面は減額される予定だが、将来的には練習場なども見直される可能性も否定できない。

 厳しい状況での再建スタートだが、高い理想も持っている。崔会長は「ヴェルディのサッカーの魅力を取り戻したい。また、あの力強く、やっぱりヴェルディだと思われるクラブにしたい」と語った。日本テレビ出身の東京Vの小湊義房社長が「ヴェルディを残すことが最優先事項だった」と語ったように、今回の話がまとまらなければクラブ消滅の危機だった。決して見通しは明るくないが、まずはクラブ再建へ新たな1歩を大きく踏み出した。