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 クラブW杯:広島3-2蔚山>◇5位決定戦◇12日◇豊田

 Jリーグ王者広島が、アジア王者の蔚山(韓国)を下し、世界5位の座をつかんだ。今季得点王の主将FW佐藤寿人(30)が自身の2得点を含む全3得点に絡む大活躍。準々決勝では披露できなかった相撲パフォーマンス「寿人部屋」も世界に発信した。広島は公式戦今季初の逆転勝ちで、賞金150万ドル(約1億2000万円)を獲得。来季はACLを制し、アジア代表として2年連続の大会出場を狙う。

 広島が自慢のパスサッカーでアジア対決を制し“どすこいパフォーマンス”を世界に発信した。立役者はFW佐藤だ。同点で迎えた後半11分、MF山岸の左サイドからのクロスに走り込むと、左足でわずかにコースを変える技ありのゴール。ベンチ前に駆け寄ると、全員で四股を踏み、突っ張りで前進する相撲パフォーマンスで会場を沸かせた。

 「少し触って一番いいところに行ってくれた。タイミングは完璧だった。パフォーマンスは、点を取った選手の名前の部屋にしようと話していた。本当は準決勝でやりたかったけど、全員で日本らしいことができてよかったです」

 名付けて寿人部屋。1回戦ではテレビカメラのないバックスタンド側でパフォーマンスをしてしまい、納得の形で演技を世界に発信することはできなかった。この日はカメラの角度もバッチリだった。

 ダメ押しの3点目も佐藤だった。後半27分、MF高萩のパスを左足でダイレクトシュート。前半35分にはFKを頭で合わせ、相手GKがはじいたこぼれ球をMF山岸が押し込んで同点のゴール。日本の国技に負けじと、力士ばりの足腰と高い技術力で全3得点に絡む活躍をみせた佐藤は「(蔚山が)アジア王者であろうと負けられない試合だった。ACLでJリーグのクラブが負けていたので、Jのプライドがあった」と胸を張った。

 森保監督は「(中2日で)疲労困憊(こんぱい)でケガ人が多い中、最後の気力を振り絞ってくれた。5位という結果でも、世界の舞台で通用すると思った」と、選手たちをたたえた。

 来季はACLで初優勝を目指し、2年連続のトヨタ

 クラブW杯出場を狙う。3得点で大会得点ランキングトップに立った佐藤は「手応えもあったし、もっと上積みもしなきゃいけない」。世界を相手につかんだ自信と喜び、そして悔しさ-。初の世界大会で名を刻んだ30歳は来季、まずはアジアの頂点に立つ。【福岡吉央】

 ◆過去の日本勢

 現大会名となった05年以降、07年浦和と08年G大阪の3位が最高。ともにACL優勝国として出場した。11年柏は開催国枠で出場して4位。