<天皇杯:柏1-0G大阪>◇決勝◇1日◇国立

 13年シーズンからJ2降格のG大阪が、柏に惜敗で前身の松下電器時代を含む3大会ぶり4度目の優勝を逃した。6年連続のアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)出場権獲得もならなかった。1年でJ1復帰がノルマのG大阪は試合後、前清水監督の長谷川健太氏(47)の監督就任を正式発表。元日本代表FWの手腕で再び名門復活を目指す。

 屈辱にまみれたシーズンが終わった。涙を流すほど、真っすぐに現実を受け入れることもできなかった。柏に惜敗。かつての常勝クラブがJ2に降格し、天皇杯もあと1歩で届かず。今大会で退任する松波正信監督(38)にとっては、後悔が胸に残った。

 松波監督

 素晴らしい日、素晴らしい舞台で、勝たないと意味がない。うちの攻撃力を最後まで出し切れなかったことが、この試合の全てだと思います。

 生まれ育ったクラブがJ2に降格。自宅に戻れば、小学生の息子の顔を見るのも胸が痛んだ。それは大黒柱のMF遠藤も同じだった。意地を見せるには、超満員の聖地で勝つしかなかったのに…。どれほど勝ちたいと願っても、勝利が届かない。それが12年シーズンのG大阪の力のなさだった。遠藤も放心状態になり、いつも以上に淡々と言葉をつないだ。

 遠藤

 終わったことを振り返っても仕方がない。また次に向かうしかない。ただ、点を取ってプレッシャーをかけたかった。いい内容であっても、結果を出せない。それが今シーズンのガンバだと思う。

 泥にまみれた12年度は終わり、すぐに新たなシーズンが訪れる。地方行脚を余儀なくされるJ2だ。2部からアジアを制する夢は消えても、1年でのJ1昇格、さらに復帰後すぐにJ1で優勝争いをするという使命がある。遠藤は、前だけを見据えた。

 遠藤

 いい年にしたいですね。個人としても、チームとしても。自分が納得できる年というか、シーズンになればいいと思います。

 長谷川体制で迎える13年。幸い、降格しても主力のほとんどがチームに残る。それは、いつか昇る朝日に向かい、走り続ける1年になる。【益子浩一】

 ◆史上初のJ2降格シーズンの天皇杯優勝ならず

 過去は01年度C大阪、07年度広島が決勝戦に進出していたが準優勝。G大阪が勝てば史上初だったが、ジンクスを破れなかった。