無印の伏兵が大番狂わせを起こした! サウジアラビア(FIFAランキング51位)が、FWリオネル・メッシ(35)擁する優勝候補アルゼンチン(同3位)を破る大金星を挙げた。前半10分にメッシにPKを決められて先制されたが、後半に2ゴールを挙げて逆転勝ち。代表メンバー全員が国内クラブに所属し、開催地カタールの隣国という地の利も生かした万全の準備で、強豪アルゼンチンからアジア勢W杯初勝利を挙げた。23日にドイツとの初戦を迎える日本への追い風となるか!?
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大番狂わせも、サウジアラビアには狙い通りの展開だった。前半10分にメッシにPKを決められた。しかし、守備ラインを高くキープする戦略にブレはなかった。アルゼンチンの攻撃陣がDFの裏を突くたびに、オフサイドの旗が挙がる。前半だけで実に7回。4試合で計6回だった前回大会を、わずか45分で上回った。
後半3分にFWシェヘリが左足で同点弾。同8分にはFWのS・ドサリのゴールで逆転。18年大会でモロッコを率いたフランス人のルナール監督は「今日は星が私たちに味方してくれた。これがフットボール。フットボールの世界は時々クレージーだ」と、興奮気味に振り返った。
メンバー全26人が国内リーグに所属する国内組。その利点を最大限に生かして戦術を徹底した。今大会は初の11、12月開催。シーズン中のため、他国が1週間ほどしか調整期間を割けない中、10月中旬に国内リーグを中断し、開幕まで約1カ月以上も合宿を敢行。強化試合は6試合を消化した。
先発11人のうち実に9人が、ACL4度優勝(前身も含む)を誇る強豪アルヒラル所属。ゴールを決めたシェヘリもS・ドサリも、GKオワイスも同じチーム。互いを知り尽くしているため、意思の疎通もパスの連係もスムーズだった。
地の利も生かした。カタールは隣国で時差もない。9月には同会場でアルヒラルがエジプトのクラブと試合を行った。ベースキャンプ地も母国との国境近くのシーライン・ビーチに用意した。この日の8万人を超える大観衆のうち大多数がサウジサポーター。ユニホームカラーの緑が揺れるスタンドは、まるでホーム試合のような雰囲気だった。
アジアの国がW杯でアルゼンチンに勝ったのは史上初。この勝利でアルゼンチンの無敗記録を36試合で止め、W杯でゴールした試合は5戦全勝だったメッシの神話も止めた。開幕からカタール、イランとアジア勢の惨敗が続いただけに、サウジアラビアの金星は、23日にドイツ戦を迎える日本にも大きな希望になった。
◆FIFAランキングに見る「番狂わせ」 51位のサウジアラビアが3位のアルゼンチンに逆転勝ち。前回大会では57位の韓国が1位のドイツに1次リーグで勝利し、開催国の70位ロシアが決勝トーナメント1回戦で10位のスペインにPK戦の末に勝利している(記録上は引き分け扱い)。過去のランキング最大差勝利は「74差」。10年大会で開催国の83位南アフリカが9位のフランスに2-1で勝っている。


