[ 2014年2月8日9時35分
紙面から ]7日、公式練習で斜面を滑走する上村(共同)
モーグル女子のエース上村愛子(34=北野建設)が今日8日の決勝で、悲願のメダル獲得を目指す。7日は、試合会場で約1時間の雪上練習を行った。最後の仕上げを行い「お疲れさまでした」と笑顔を見せた。
その表情が曇ったのは、伊藤の話題が出た時。ちょうど練習中、伊藤の欠場が発表された。「本当に頑張っていたので…。でも、昨日見た感じではすごく痛そうだった」。所属先も同じ後輩を気遣った。
6日の予選は、完璧なエアと安定したターンで7位。日本勢で唯一、決勝進出を決め「しっかり滑れる自分は、みきに見てもらって恥ずかしくない滑りをしたい」と心に誓っていた。
チームのためにも戦う。バンクーバー五輪まで、たった1人のエースだった。自分のことだけ考え、自分を優先して行動した。約1年の休養から復帰すると、伊藤や村田ら若手が成長していた。「チームがいい雰囲気のまま五輪に臨めたら、みんないい滑りができて結果につながる。私もみんなと一緒に上がっていきたい」。個人競技ながら、チーム力を感じた。予選では後輩の滑りもチェック。直前の滑走だった星野も「エアがすごく高かったし、いい滑りだった」とスタートゲートから見ていた。
追い風は吹いている。予選1回目で決勝を決め、8日は最多で3本滑ればいい。予選2回目に出る選手は4本になるため、時間的にも体力的にも差が出る。34歳のベテランにとって、たった1本も大きく違う。「4本滑るとなると本当にきついので、ちゃんと1本目で通ったのは自分にとってプラス」とも話していた。
中学生でモーグルを始めて、ちょうど20年目が集大成の年になる。「色は関係なくて、やっぱりメダルが欲しい」。その一心で走り続けてきた道も、あとわずか。最後の五輪で、メダルを自分の手でつかみ取る時がきた。【保坂恭子】