昨夏の世界選手権で男子マラソン9位の川内優輝(31=埼玉県庁)が12日、羽田空港発の航空機で、ボストンマラソンに出場するため米国へ出発した。

 同レースは世界最高峰シリーズ「ワールド・マラソン・メジャーズ」の一つ。初めてとなるボストン出場のきっかけは意外な縁だった。川内の代理人であるラーナー・ブレッド氏が昨夏、大学の先輩に当たる同マラソン3連覇のビル・ロジャース氏(米国)と野球の米大リーグのレッドソックス-マーリンズ戦を観戦。その時、ロジャース氏が川内へ向けて、ボストンマラソンの出場のラブコールをした。その動画をブレッド氏からもらった川内は30分以内に出場する意向を伝えたという。

 昨年末にも試走をした川内は「偉大な選手から呼んでいただけるのはうれしいこと。そういう意味でも何とか頑張ればいい」と抱負を語った。

 2時間14分12秒で優勝した3月の台湾でのマラソン後に「ぶっ倒れて、医務室に運ばれた。全身けいれんを起こし、ひどい状況になっていた」と言うが、すでに両ふくらはぎの張りも消え「今は万全です」と強調。ボストンは前回大会、大迫傑(26=ナイキ・オレゴンプロジェクト)が3位に入った。川内も表彰台を目標に掲げて「去年の大迫選手のように、うまく流れに乗って、しっかり終盤で勝負できれば」と語った。前半は力を使わず集団の中で潜み、後半まで粘るレースプランを描く。

 来年9月以降に開催される20年東京五輪の選考レース「グランド・チャンピオンシップ」に出場するかは、まだ決断していないが、ボストンは世界での立ち位置を知るいい機会となる。世界選手権10位の中本健太郎(35=安川電機)も同マラソンに出場予定だったが、欠場となった。