第99回東京箱根間往復大学駅伝(箱根駅伝)が来年1月2、3日に開催される。日刊スポーツ東北版では「箱根を駆ける東北魂!!」と題し、東北にゆかりのある注目選手を紹介します。

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学生最強ランナーの駒大・田沢廉(4年)が箱根ラストランを迎える。出雲駅伝、全日本大学駅伝を制し、3冠に王手をかける名門の大エースは、3年連続で「花の2区」にエントリー。前回大会では現役時代の大八木弘明監督(64)以来、36年ぶりに同大から2区区間賞を獲得した。今大会は1年時に区間新(区間3位)の3区を熱望も、各大学のエースが集う激戦区で三たび出場。ライバルに差をつけ、総合優勝へ導く。

1万メートルで日本人学生歴代最高記録(27分23秒44)を持つ田沢は、今年7月の世界選手権で日の丸を背負った。結果は20位(28分24秒25)。それでも、95年の渡辺康幸、07年の竹沢健介、13年の大迫傑(いずれも早大)に続き、同種目で日本代表に選出された4人目の大学生となった。

世界選手権後、少し休養を挟んでから駒大の夏合宿に参加した。例年より駅伝に向けた練習を積めなかったというが、「継続した練習が自分の今の力を維持というか、継続してくれていると思う」。10月の出雲は3区区間2位、11月の全日本は7区区間賞(区間新)で2冠に貢献した。

2年連続で走ってきた2区は中盤、終盤に上り坂がある難コースで「上りが得意ではない」という田沢にとっては自身が思う適性区間ではなかった。それゆえに前半が下り基調の3区の方が「力を発揮できる」区間とみていたが、大八木監督の信頼は厚く、「花の2区」での起用が決まった。

雪国・青森で生まれ育ち、日本のトップ選手に成長した田沢に対する県民の期待は大きい。「たくさんの方々の応援によって自分が良いパフォーマンスをできていると思うので、そういう人たちに応える走りをしたい」。3冠をたぐり寄せる激走で、故郷に勇気や感動を届ける。【山田愛斗】

◆田沢廉(たざわ・れん)2000年(平12)11月11日生まれ、青森県八戸市出身。是川中、青森山田を経て19年に駒大入学。自己ベストは5000メートルが13分22秒60、1万メートルが日本歴代2位の27分23秒44。1万メートルで21年日本選手権2位。7月の世界選手権で20位。全日本大学駅伝は1年時から4年連続区間賞。箱根駅伝は20年が3区区間3位、21年が2区区間7位、22年が2区区間賞。180センチ、61キロ。血液型O。