<全国高校バスケット選抜優勝大会:山形商80-75聖カタリナ女>◇28日◇女子3位決定戦◇東京体育館

 山形商(山形)が80-75で聖カタリナ女(愛媛)を下し、東北勢女子で初の2年連続3位の座を勝ち取った。第4クオーター(Q)に逆転されたが驚異的な粘りで再逆転。インターハイ、国体で敗れた聖カタリナ女に雪辱した。4強唯一の公立校が私立の強豪に交じって、大健闘の2年連続銅メダルを獲得した。

 イチかバチかの勝負に出た。第3Qまで、ゾーンディフェンスでリードしていた山形商。だが第4Q、マンツーマンに切り替えた。残り7分、いったん逆転されたが、強烈なディフェンスから速攻で再逆転。勝利の瞬間、選手たちは抱き合い、うれし涙を流した。

 「これで負けたらしようがないと思った」と高橋仁監督(51)。第4Qの前に「0-0からの10分間1本勝負だ。リードは忘れろ!」と選手に指示した。マンツーマンに切り替えたのは「ヘルプを期待しないで自分で守れ」という狙いだった。勝因を「気力、根性」という高橋監督。メンタル面の効果が大きかった。

 公立校として唯一ベスト4入りし昨年同様、私立の聖カタリナ女を破っての3位。高橋監督は「連続3位はすごい。これ以上の成績はない」と話した。練習環境や選手層でハンディのある公立校。層の厚い私立の強豪は、メンバーを入れ替えて勝ち進めるが、山形商は主力がほぼ出ずっぱりで6連戦を戦い「容量が切れて限界」(同監督)の中での奮闘だった。

 大沼美咲(3年)は1回戦で右ひざ外側靱帯(じんたい)を痛め、全治3週間~1カ月の診断。この日も痛み止めを飲んで出場し、チーム最多の21得点。2年連続で大会ベスト5に選ばれた。主将として「リバウンドを取れたしディフェンスもうまくいった。今までやってきたことをすべて出せた。昨年より、うれしさは格別」と笑顔を見せた。

 チームにとっては優勝と同等、あるいはそれ以上の金字塔。しかし大沼は「後輩たちには『私たちを超えてね』と言いたい」と頂点への願いを託した。【北村宏平】