<全国高校バスケット選抜優勝大会:藤枝明誠118-75大分舞鶴>◇男子3回戦◇26日◇東京体育館

 男子の藤枝明誠(静岡)が、余力を残して大分舞鶴(大分)に118-75で圧勝し、県勢12年ぶりのベスト8進出を果たした。選手交代を頻繁に行って、計40分間で出場時間が20分を超えたのは3人だけ。登録15人全員を起用する余裕の采配で、同校初の8強入りを果たした。王者洛南(京都)が敗れたため、27日の準々決勝は福岡大大濠との「予想外」の対戦となったが、全国総体で下した相手を返り討ちして県勢初の4強入りに挑む。

 まさかの事態に、西塚建雄監督はただただ苦笑いを浮かべた。藤枝明誠の試合にではなく「予想外」だった次戦の対戦相手にだ。同時刻に隣のコートで戦っていた王者洛南が、福岡大大濠に敗れる波乱が起きた。「8強から4強にかけては、洛南しか考えていなかった。大濠が来るとは予想していなかったので、対策は1つもしていない。一晩で変えて臨機応変にできると思うけど…」と苦笑した。

 組み合わせが決まってからの練習はずっと、洛南がイメージだった。東京に来てからも、相手のゾーンDFの崩し方に時間を割き、国体決勝で洛南を中心にした京都代表に敗れた借りを返すべく集中してきた。それだけに、ハーフタイムに選手は洛南の試合を眺めるなど、試合途中でも「気になった」と鈴木友貴主将(3年)。エース藤井祐真(3年)は「負けっ放しじゃ終われなかった。勝って終わりたかった」と少し寂しそうに話した。

 そんな敗れた王者とは対照的に、明誠は盤石だった。「(準々決勝で)急に出るよりはいい」(西塚監督)と腰痛を抱える藤井を先発で使いつつ、頻繁に選手を代える余裕。19得点の鈴木主将が26分間出場したのが最長で、15人全員をまんべんなく使った。チーム最多の20得点、21リバウンドとゴール下で強さを見せた196センチセンターの羅中杰(3年)は「活躍できたと思う。リバウンドはチームが勝つために一番大事だから」と余裕の表情だった。

 3度目で藤枝明誠初の8強入りを果たして迎える福岡大大濠戦。予想外の相手とはいえ、全国総体3回戦で対戦して109-102で勝ってもいる。当時両チーム最多38得点した藤井は「総体よりも今の方が強い」と気を引き締めつつ「ゾーン対策は、大濠にも役立つかな」とほくそ笑んだ。県勢初の4強入りは、目前に迫った。【今村健人】