<全国高校バスケット選抜優勝大会:福岡大大濠99-93藤枝明誠>◇男子準々決勝◇27日◇東京体育館

 男子の古豪・福岡大大濠(福岡)が総体3位の藤枝明誠(静岡)を下し、6年ぶり4強入り。1993年以来16年ぶりの優勝へ前進した。第1クオーター(Q)で15点差を付けられたが第2Qから逆転、逃げ切った。就任45年目の田中国明監督(67)は、今季限りで退任することを決めており、ラストイヤーに選手が奮闘中。久々の「大濠旋風」を巻き起こしている。

 「これが、大濠たい ! 」。試合終了後、選手たちは大声でスタンドに向かって叫んだ。今大会ノーシードの古豪が、ジワジワと頂点に近づいてきた。3回戦で3連覇中だった洛南(京都)を撃破すると、勢いそのままに総体3位の藤枝明誠に逆転勝ち。第1Qで付けられた15点差をひっくり返した。総体で藤枝明誠に敗れ16強だっただけに田中監督は「夏のリベンジよ。選手は本当にようやっとる。おれは何も言うとらん。来た、大濠旋風来たばい」と博多弁で興奮気味に話した。

 今大会は県内のライバル福岡一が総体優勝推薦枠、大濠は県代表として出場している。毎年、好選手を擁する福岡一の壁に阻まれ、いつのまにか「伝統校」扱いされている。過去優勝2回、準優勝4回、4強9回のすべてを指揮した就任45年目、67歳の田中監督は、すでに65歳で教職を定年退職しており、現在は「外部コーチ」として指導中だ。

 その名将は、今年を監督最後の年と決めている。後任監督も内定しているが、選手にはまだ伝えていないという。だが選手もうすうす感じており、ラストイヤーにかける結束力は強い。田中監督は「ここまで来たら、いくとこまでいくしかないやろ」。93年以来16年ぶりの日本一へ、あと2勝だ。【井上満夫】