<全国高校バスケット選抜優勝大会:桜花学園68-59東京成徳大高>◇女子決勝◇28日◇東京体育館

 女子の桜花学園(愛知)が、東京成徳大高(東京)を破り、3連覇を達成した。191センチの「スーパー女子高生」渡嘉敷来夢(とかしき・らむ=3年)が、高校最後の大会で原因不明の腹痛、疲労を抱えながらチーム最多の31点を記録。大会のベスト5にも選ばれた。卒業後はWJBLのJOMOに入団する日本バスケ界の宝が、有終の美を飾った。男子は、明成(宮城)が創部5年目で初の決勝に進出。29日の決勝で総体王者の福岡一(福岡)と対戦する。

 試合終了のブザーを聞くと渡嘉敷が、両手で腹部をさすりながら感極まって泣きだした。3連覇で井上真一監督を3度胴上げする歓喜の輪にも加わらず、脇で涙を流しながら見ていた。「全然、調子が良くなかったんで、チームのみんなに申し訳ない。でも、やっと目標を達成できた。うれしい」と泣きじゃくった。

 09年を通して、万全な状態で戦えなかった。今年の春は左足小指の付け根の疲労骨折で5カ月間離脱。さらに秋の国体前には新型インフルエンザにかかり、チーム練習に合流できなかった。今大会期間中は原因不明の腹痛に苦しみ、本来の力強さは影を潜めていた。それでもこの日、力強いリバウンド、チーム最多の31得点を決めるなど攻守で活躍。絶対的エースの底力を見せた。井上監督から「ラムはさすが。彼女は日本バスケ界を変えてくれる子」と褒められた。

 「速い、大きい、うまい」の3拍子そろった万能型センターは、史上最年少の16歳で日本代表候補入りした逸材。ピンポン球だとダンクシュートができる女子高生は、来年からWJBLのJOMO入団が内定。12年ロンドン五輪の主力としての活躍も期待される。「五輪のことは考えてない。実業団で活躍したい」と渡嘉敷。名前は「夢が来る(かなう)ように」との理由で付けられた。今後もラムちゃんから目が離せない。【井上満夫】